文・写真/サラーム海上

 

 2021年10月25日月曜、リスボン二日目の夜は現地在住の日本人サウンドデザイナー森永泰弘さんと会食を予定していた。

 森永さんは音楽関係の友人を通じて紹介された。彼のウェブサイトをチェックすると、インドネシアのクロンチョンや中国雲南省の少数民族ナシ族の伝統音楽演奏を現地で録音/プロデュースするなど、とても興味深い活動を行っていた。メッセンジャーでのやりとりを通じて、彼が2021年春からご家族とともにリスボンに拠点を移し、将来的にアフリカやブラジルまで視野に入れた音楽制作を目論んでいることを知った。そこでリスボンで会い、情報交換し、お気に入りのお店に案内してもらうこととなったのだ。

 指定されたお店はエストレーラ地区にあるアレンテージョ地方の家庭料理店『A Trempe(ア・トレンペ)』。アレンテージョ地方はポルトガル中南部に位置する巨大な地方。大西洋沿岸部とスペイン南西部と国境を接する内陸部があり、ポルトガルで最も料理の美味しい地方とされている。

ポルトガル土産のオイルサーディン缶詰の高級店店頭にて
アルファマ地区、グラッサ展望台からリスボン市街を見下ろして

 約束の19時を10分ほど遅れてお店に到着すると、森永さんはご友人の杉本崇さん(以下タカシさん)と既に席に付いていた。タカシさんはリスボン在住の映像作家で、ちょうど同時期に開催中だったリスボン・ドキュメンタリー映画祭「Doclisboa」ではキュレーターを務めていた。実はア・トレンペはタカシさんのお気に入りの店だった。

夜7時のエストレーラ大聖堂。路線バスが遅れて、少々遅刻。すみません!
10月下旬のリスボンの夕暮れ、道路左側にア・トレンペ