「新年をどこで迎えるか?」というのは毎年巡ってくる我が家の大問題である。相棒の休暇が何日あるかで大きく変わってくるのだが、今年のカレンダーでは「12日間」という微妙な日数。仕事終了と同時に飛行機に乗り、戻った翌日から仕事再開というのは疲れが溜まっている相棒には少々酷なスケジュールだ。とはいえ、「お正月はやっぱり日本がいい!」というのが私の本音である。二人して顔を付き合わせ仔細を吟味した結果、「短期の弾丸帰国でもやっぱり日本でお正月を過ごそう」ということで合意し、クリスマス直前にローマを脱出することにした。
   私の目的は「家族とお正月を迎える」ことなので滞在中のプランなど必要ないのだが、イタリア人の相棒にとっては、「クリスマス休暇の海外旅行」である。13時間も飛行機に乗って行くからには、どこか知らない場所を訪れてみたいと思うのは当然だろう。この里帰りでも小旅行を考えていたが、困ったことに私も相棒も「人混みが大嫌い」である。年末年始の日本で混雑していない旅先などあるのだろうか? 短い期間でも旅行気分が味わえて、しかも人混みを避けてのんびり楽しむにはどうすればいい? 頭を絞って考えた年末の小旅行の顛末をご紹介しよう。*本記事は2019年1月に「TABILISTA」で掲載したものです

 

混雑を避けてゆったり古都巡り

 クリスマスイブに日本に到着し、時差ボケも抜けないまま新幹線に乗って目指したのは奈良。29日の土曜日からは日本中が正月休みの大混雑になることを予想して、その前に小旅行を楽しもうという計画だった。新幹線内での食事を毎回楽しみにしている相棒は、早朝の東京駅でいそいそと朝食を物色し、焼きたてパンのサンドウィッチを買ってのぞみに乗り込んだ。今回は二泊三日で奈良と大阪を訪れる。世界的にクリスマス休暇に突入しているこの時期、京都は外国人観光客で溢れかえっているだろうと予測して今回は見送ることにしたのだ。

 奈良へ着くと、毎年ローマのセミナーでお目にかかっている合気道のT先生が出迎えて下さった。
私と相棒の大のお気に入りスポットである法隆寺を皮切りに、それまで知らなかった穴場スポットを巡るというT先生のご提案に、我々はありがたく従うことにした。奈良は駅周辺を除くと車がなければアクセスできないスポットが多いため、初めて日本を訪れる外国人観光客にとっては難易度の高い観光地である。加えて師走も押し迫ったこの時期は、日本人観光客も少ないだろう。「ここなら人混みを気にせずゆっくり散策を楽しめるに違いない」と考えた我々の予想は見事的中した。師走の多忙期にも関わらず、地元である奈良の案内を快く引き受けて下さったT先生のお陰で、ずっと行ってみたかった古都の穴場的スポットをのんびりと回ることができた。

 





飛鳥時代を代表する木造建築である法隆寺の金堂。石を見慣れたローマ人の相棒には、古い木造建築が殊の外貴重に見えるようだ(上)。斑鳩の三塔の一つが残る法起寺は、のどかな田園風景の中にひっそりと佇んでいる(中)。日本最古の厄除け霊場である松尾寺(下)