オリーヴと葡萄畑の中にあるサンマリノ神社

 中世ヨーロッパの面影が強く残るサンマリノの旧市街を歩きながら、この土地に本当に神道の神社があるのだろうかと疑わしく思っていたが、サンマリノ神社は確かに存在していた。

 神社を参拝するにあたり事前にフランチェスコ・ブリガンテ宮司に連絡したところ、多忙なスケジュールにもかかわらず、宮司自ら神社を案内してくださるというのでありがたく同行していただいた。神社があるのはサンマリノ旧市街を下ったセラヴァッレという麓の街。サンマリノ共和国には首都サンマリノ市以外にカステッロと呼ばれる9つの行政区画があるのだが、セラヴァッレはその中でも一番大きな行政区で、イタリアとの国境があるドガーナの町もこのエリアに属している。ブリガンテ宮司の案内で訪れた神社は、オリーヴの林と葡萄畑に囲まれた静かで小高い丘の最奥にあった。夕暮れ時、鳥居のシルエット越しにティターノ山山頂にそびえるサンマリノ旧市街の3つの塔が見えた。鳥居の脇に立てられたプレートには神社の由来が書かれている。

 「サンマリノ神社は2011年の東日本大震災の犠牲者を追悼するために建立された。サンマリノと日本の絆を通じ、世界平和に繋がればと願っています」。

 神社の土地は周囲の葡萄とオリーヴ畑を所有する農家「ポデーレ・レジニャーノ」の敷地内にあり、この場所は農家の主人のご好意で提供していただいたのだそうだ。日本から約1万キロも離れたこの地に、東日本大震災の悲劇を悼み、鎮魂の祈りを捧げてくれる人達がいることに心を打たれた。今日までこの神社のことを知らずにいた自分が恥ずかしく、申し訳なく思うと同時に、サンマリノの人々の思いがとてもありがたく、自然と頭が下がっていった。

 

サンマリノ神社はヨーロッパで初めて神社本庁に承認された神道式神社。鳥居の向こうにサンマリノ旧市街の塔のシルエットが見える(上)。鳥居の脇のプレートには神社の由来が3ヶ国語で書かれている(下)




なだらかな丘の斜面にある葡萄畑を脇に見ながら参道を進む(上)。葡萄畑の向かいには芦に囲まれた池があり、野鴨の一家がのんびり泳いでいた(中)。境内の一角には願い事が書かれた絵馬もかかっている(下)