文・写真/山田静

 

【京都町家旅館】建つぞ建てるぞ楽遊「別邸」(内装編)前編を読む

 

(前回から続く!)

「でね、ここに扁額があったらいいと思うんです」
 設計士さんが指さす先は、本館と別邸を区切る、上から壁が少し下がっている部分。

正しい呼称が分からないのだが、ここである

 そういえば、料亭やお寺のこういうところに横長の絵や文字が飾られているっけ。あれは扁額というのか。

 ためしに「扁額」で検索するとさすがネット社会、アマゾンでもメルカリでも販売されている。だが、松にウグイス、とかいかにもな絵柄やきんきらの配色だったりして、なんか違う気がする。といって「南無阿弥陀仏」や「一期一会」でもないだろう。

 芸艸堂に問い合わせたが、いいサイズの横長な作品はない。ダメもとで額縁屋さん(ギャラリーも運営されている)で聞いてみたら、「ありますよ」とあたり前な感じで「扁額カタログ」が出てきた。

 ……そんなものがこの世にあるのか。びっくりしつつページを繰ったが、やっぱり松にウグイスや牡丹の花などの絵柄が多く、あの場にあいそうなものがない。

 うーん、無理することもないか。その日はあきらめて、緊急事態宣言を受け、ひとけの消えた寺町通りで売れ残って山積みになっていたタケノコご飯をひとつ買い求めて帰路についた。

 けっきょく、今に至るまで扁額は見つかっていないが、まだまだ知らないことは無尽蔵だと改めて思った。ってことは、思わぬ出会いもまだまだあるってことだ。扁額だってそのうち出てくるに違いない(←あきらめきれない)。



4月上旬、『うつわhaku』さんに発注していたカップと豆皿も完成。チェックインのときに出すお菓子を載せる大事なうつわ、今回の豆皿は「gin drop」、銀の粒が雨粒のように波型や山型となって皿に散る端正な作品だ。茶器も作成している作者のひろすえさんからは、「“月”のお部屋で、山の豆皿の上に丸いお菓子があると面白いのではないかと思いました(月の景色的な)」という補足も届き、なるほど茶席ではこうやって見立てを楽しむのか