文/光瀬憲子

 

前回に引き続き、駅から歩いてすぐのところにある美味い食堂をご紹介する。今回も台北はもちろんのこと、ちょっと足を伸ばせば行ける基隆や、はるか南部の高雄まで、気軽に入れる駅前食堂をピックアップした。

 

台北駅

 最近、台北の駅裏(本コラム#43参照)がおもしろい。

 とくに昨年、桃園空港までの直通MRT(機場捷運)が開通してからは、乗り場が近いとあって駅裏(台北駅の北側)に空港利用者が立ち寄ることが多くなっている。市場と商店街の中間ぐらいの経年を感じさせるショッピングエリア「華陰街商圏」は日本の若い女性でも歩きやすい。

 

一見シンプルな白粥に見えるが、実は具だくさん。海鮮、牛肉鶏肉など、さまざまな具材から好きなものを選ぶ
『太源粥品』の粥はいわゆる広東粥。お米はとろっとしたタイプ。油條はサクサク感としっとり感の両方を楽しめる。ラーメンどんぶりくらいのサイズなので、食べ歩き目的の旅なら2人でひとつでもいいかも

 そんな人気エリアにあるのが粥専門店の『太源粥品』。粥といっても、ここで扱っているのは朝ごはん向けの具なし粥ではなく、ラーメン丼くらいの器にごはんや具がたっぷり入った、一皿でおなかいっぱいになりそうな粥だ。台湾では「広東粥」と呼ばれているように、もとは広東料理だが、その後、台湾流に進化を遂げた。

 具は海鮮が特に人気で、エビや牡蠣などが入ると濃厚で旨味のある粥が楽しめる。私が好きなのはピータンと豚肉の粥。アツアツのうちに、ちぎった油條(揚げパン)とネギをたっぷりのせていただく。サクサクの揚げパンが次第に粥の汁を吸って柔らかくなっていく食感も楽しい。日本語のメニューがあるのもうれしいポイントだ。

 

機場MRTに近い、台北駅の地下街出口Y15番を出たら、鄭州路29巷の路地をまっすぐ進んで徒歩3分

基隆駅

 基隆と言えば駅から少し離れたところにある廟口夜市が有名だが、駅のすぐそばにも隠れた名店がある。

 基隆の駅を出て線路沿いを北上するように進むと、フェリーターミナルの手前に年季の入った看板を掲げる老舗臭豆腐店『劉家50年臭豆腐』がある。

 

基隆のフェリー乗り場そばの香り際立つ伝統的な臭豆腐。外側はカリッと、中はジューシーなのが昔ながらの味

 オーソドックスな揚げ臭豆腐もカリッとして美味だが、この店の名物は「豆干包」という不思議な食べ物。厚揚げに魚のすり身で封がされたものがゴロンとスープに入っている。揚げをかじると、中からは濃厚な味付けの豚ひき肉の煮込みが! 厚揚げ爆弾と呼びたい感じだ。

 フェリー乗り場のすぐそばにあるため、この店で臭豆腐を買ってフェリーに乗り込む人も多い。

 

厚揚げにひき肉の煮込みを詰めて魚の練り物で蓋をした、なんとも不思議な食べ物。他店ではなかなか味わえない
夕方は混雑必須。フェリーに乗り込む前にテイクアウトする客も多い。基隆駅を出て線路沿いを北上してすぐ