文/チョン・ウンスク

 

 最近は韓国各地の料理を食べ歩き、韓国人よりも韓国料理に詳しい日本人が少なくない。彼らの話を聴くと、「韓国料理を極めていくとクッパやチゲのようなシンプルなものに行き着く」と言う人が多い。クッパやチゲは韓国人にとってとても身近な食べものだ。汁ものとごはんという組み合わせは、家庭でも食堂でもまさに韓国料理の基本といっていい。

 クッパはスープ(クッ)とごはん(パプ)、チゲは鍋物のことを指していて、他にもタン(湯)というものもあり、クッパやタンはチゲよりも汁気が多いなどといった違いはあるが、今回はそんな細かい話は抜き。本格的な冬が訪れた韓国で湯気を立てている汁物の写真を眺めながら暖をとることにしよう。

 

ソウル南大門市場の太刀魚鍋横丁。最新刊『韓国ほろ酔い横丁 こだわりグルメ旅』p61より

スンデクッパ(腸詰入り汁かけめしメシ)

 韓国人に○○クッパの○○部分を埋めよと言ったら、スンデ(腸詰)を挙げる人が多いだろう。日本人旅行者は積極的に食べないかもしれないが、韓国の飲食店街に行けばたやすく見つかる食べものだ。

 スンデクッパというと、私は「深酒」を連想する。一次会(大人数の宴会)を終えた中高年男性が気心の知れた仲間と腹ごしらえするのがスンデクッパの店。日本でも〆のラーメンを食べるときに、未練がましくビールを飲む人がいるが、韓国も同じで、スンデをつまみながら再び焼酎を飲み始める人も珍しくない。

 また、日本のように一人で酒を飲む姿があまり見られない韓国だが、スンデクッパの店ではけっこう見かける。気取らず、飾らず、肩の力を抜く。それがスンデクッパのある空間だ。

 

ご飯が別になっているスンデクッ。腸詰以外に豚の端肉やモツが入っていることが多い

ユッケジャン

 日本の焼肉店でもおなじみの激辛スープ。細切りにした牛スネ肉やズイキなどが入っていることが多い。私にとってユッケジャンは、むしゃくしゃしたときに食べるものだ。ストレスがたまっているが、仕事があるので酒を飲むわけにはいかない。そんなときユッケジャンの辛さが軽い神経麻痺と発汗を促し、心身をスッキリさせてくれる。

 韓国のユッケジャンは日本のものよりもさらに辛いので注意が必要。辛さでごはんが進むので、ダイエット中の方にはおすすめできない。

 

ユッケジャンは「キムパプ天国」などの大衆食堂チェーンでも食べられる

シレギクッ(大根の葉のスープ)、ウゴジクッ(白菜の外葉のスープ)

 大根や白菜の干し葉を牛骨などのダシで煮込んだスープ。ソウルなら仁寺洞の東側にある楽園洞(タプコル公園の裏)で出している店が多い。田舎の市場にある食堂ではクッパを頼むと、これが出てくることもある。

 香辛料も少なめで、肉片も入っていないので、胃に負担が少ない。本当の意味でのヘジャンクッ(酔い覚ましのスープ)になるだろう。

 

シレギクッ。これにはヨモギの葉も入っていた