イタリアの華麗な街トリノ。チョコレートやジェラート、ストーリーカフェなど、フランス風の華やかな宮廷文化が今も色濃く残るこの街が、実は世界でも指折りのミステリー&パワー・スポット満載の街であることはあまり知られていない。初めてこの地を訪れて以来、自他共に認めるオカルト&ホラー好きの私を虜にしてきたトリノのミステリー・スポットをご紹介しよう。


 

黒魔術と白魔術が交錯する街

 昨年の秋、二度目に訪れたトリノの街で王宮広場を歩いていた時、トリネーゼの知人がこんな話をしてくれた。

 「トリノは美しい街だが、同時に恐ろしい街でもある。ロンドン、サンフランシスコとトリノを結んだ大三角形は〝黒魔術のトライアングル〟と呼ばれている。さらに、リヨン、プラハとトリノを結んだ三角形は〝白魔術のトライアングル〟。この世の善と悪、どちらのパワーもこのトリノの街で交差しているということなんだ」。

 トリノが〝魔術の街〟であることは、以前から何度も耳にしていた。事実、トリノは欧州で最も多くのエクソシスト(ヴァチカンから派遣された悪魔払い)が活躍する街であり、サタニストと呼ばれる悪魔崇拝主義者の中心地で、トリノで起こった猟奇的な事件や超常現象、未解決事件の数々はニュースでも取り上げられている。

 というわけで黒魔術については知っていたのだが、同時に善のパワーである白魔術もトリノが世界で中心的な役割をなしている街だとは知らなかった。かのノストラダムスも『天国、地獄、煉獄の存するここに逗留した』という碑文をトリノに残しているが、悪と善の強大なパワーが渦巻く旧市街は、どうやってそのバランスを保っているのだろうか?

 

トリノの街を二分する白魔術と黒魔術の境界線があるカステッロ広場。この広場の中央はトリノで最もポジティヴ・エネルギーが集まるパワー・スポットと言われている。

 

善悪両方のパワーを宿したエジプト博物館

 トリノではミステリー好きのツーリスト向けに「トリノ・ミステリーツアー」といったガイド付きツアーも多数用意しているが、今回、私はどうしても一人で回りたかった。これといった理由があった訳ではない。ましてや肝試しなどといったおふざけ気分だった訳でも、決してない。これまでの人生で、好むと好まざるとにかかわらずさまざまな不思議現象を体験してきた私は、こうした場所へ足を踏み入れる時は真剣に向き合わなければいけないと肝に銘じている。面白半分に茶化したり、逆に必要以上に怖がったりするとロクなことにならないということは、身を以て体験済みである。今回のトリノは「本能の命ずるまま」に歩きたかったので、黒魔術と白魔術の10のスポットを地図に印し、あとはプランを立てず自由に動くことにした。

 調べてみたところ、黒魔術と白魔術、両方のパワーが出ている場所が一カ所ある。世界屈指の規模を誇るエジプト博物館だ。世界最古のものを含め3つの『死者の書』があるこの博物館から歩き始めることにした。

 

カイロに次いで世界で二番目に重要とされているエジプト博物館。ヒエログリフ、ミイラ、『死者の書』など33,000点を所蔵、うち約6500点が展示されている。