いっとき「グルテンフリー」なる食スタイルだか健康法だかが一世を風靡した。欧米などのスーパーモデルから始まって一般にも広まったとかで、日本でも、結構話題になっていた(一部でだけかもしれないが)ように思う。
   ちなみに、「グルテン」は、小麦や大麦に含まれるタンパク質の一種で、パンやケーキなどのもっちり感を出す成分。これを日常の食事からシャットアウトするというスタイルが「グルテンフリー」。早い話、「パンとかパスタとか、ケーキとかクッキーとか、小麦粉製品を食べるの、やめましょうよ」ってことですね。
   わざわざ言うまでもないかもしれないけれど、一応、念のために。


 まぁ、どっちみち私は、はなからそういうのには興味がない。
「ふーん、また新しいダイエット法だか何だかが入ってきたのね〜」
   くらいにしか思っていなかった。


   ところが、である。
   あるとき、仕事で〝食と健康と美容のプロフェッショナル〟とでも言うべき人と話す機会があった。
   そもそもグルテンを排除するのは、アレルギーを引き起こすことがあるからで、もちろん、誰もがそうなるわけではないけれど、その人が言うには、グルテン過敏症と言って、軽度のアレルギーの人はかなりの割合で存在するらしい。


「肌荒れ、慢性疲労、下痢、便秘、集中力の低下など、グルテン過敏症の症状は人によって、実にさまざま。だからね、病院に行くほどじゃないけど、なんか、ちょっと不調……みたいな人は、グルテン過敏症の可能性もあるから、一定期間グルテンを断ってみるといいんです。それで体調が良くなったら、そういうことだから」


   そうか!
   私は膝を打つ。
   子どもの頃から健康だけが取り柄みたいなところはあったが、だんだん大人になるにつれて、「いつも絶好調!」というわけにはいかなくなった。ずっとMacにへばりつく日々が続けば体調はイマイチだし、飲み過ぎれば二日酔いにもなるし。
   でも、まぁ、「こんなもん」と思って生きてきたわけだけれど、もしかして、実は私もグルテン過敏症で、グルテンを断つことで、驚くような体調の変化があるとか!?


「みんなは、こんなに快適な日々を送っていたのか!!」


   慢性の心臓疾患の人が意を決して手術を受けたら、身体がびっくりするほど楽になって驚いたという話を聞いたことがある。
   グルテンフリーの食生活にすることで、それと同じようなことが起きるのではないか。これまで経験したことのない、めくるめくような(!)世界が待っているのではないか!? 
   私は期待した。


   自分にとって、小麦粉製品を排除するのは、さほど難しいことではないように思えた。
   目の前にバタートーストと塩むすびがあったら、迷わず後者を取ると断言できるほど、パンよりご飯派だし、ケーキとかクッキーとか、小麦粉を使ったスイーツも普段からほとんど食べないし。パスタやうどんを断つのは、ちょっと、ちょっと……な気もしたが、まぁ、〝とりあえずお試し〟なので、そんなに長い期間じゃあるまいし。

 

普段、うちではパスタが食卓に上る率が高い。冬の時期なら、牡蠣とブロッコリーのアーリオ・オーリオorクリームソースは定番。が、「グルテンフリー」の食生活では、これもしばらくお預けだった。
米粉のパスタで、こういうメニューも試してみたけれど、やっぱり、パスタはデュラムセモリナじゃないと……。