最近、韓国の外食シーンで注目されている言葉がある。

 一人メシを表すホンパッ(혼밥)と一人酒を表すホンスル(혼술)だ。ホンは「一人」を意味する혼자(ホンジャ)の頭文字、パッは「ごはん」、スルは「酒」のこと。

 韓国では長らく一人で飲食することを忌み嫌ってきた。しかし、一人暮らしの割合が全世帯の30%近くにまで増え、最近、一人で酒を飲んだり、ご飯をたべたりする人が珍しくなくなり、それによって一人で飲み食いしやすい食堂や居酒屋が増えてきた。不況が長引き、今までのように気前よくおごったりするのがしんどくなったり、おごってもらうことが精神的負担になったりしていることも無縁ではないだろう。

 最初、この言葉が出回り始めたときは、イメージ先行で実態が伴っていないのでは? と思ってしまったのだが、実際に街歩きをしてみると、そうでもないことがわかってきた。そこで今回は一人飯、一人酒先進国である日本のみなさんのために、“お一人さま”でも居心地のよい店をいくつか紹介しよう。

 

 

阿峴市場ブッチムゲコルモク(아현시장부침개골목)

「阿峴」駅前にある阿峴市場に隣接するブッチムゲ横丁。右手が市場の入り口

 「市庁」駅から2号線でわずか2駅の「阿峴」(アヒョン)駅4番出口の近くにある阿峴市場の入り口には、肉や魚、野菜に衣をつけて鉄板で揚げ焼するジョン(ブッチムゲ)の店が並んでいる。店内でも食べられるが、ほとんどの店は通りに面したところがカウンターになっていて、一人でも利用しやすい。鉄板の脇にはジョンがたくさん並んでいるので、韓国語がわからなくても指させば注文できる。なかでも「ヌルプルン・シクタン」の女将は外国人にも分け隔てなく接してくれるので、おすすめだ。

 

この横丁ではどの店でもジョン(チヂミ)とマッコリが楽しめる
「ヌルプルン・シクタン」の快活な女将

 阿峴駅周辺は再開発による高層マンション群と昔ながらの庶民居住区が混在していて、今見ておかないとすぐなくなってしまいそうな風景の宝庫。私はここでジョンをつまみ、マッコリを飲んでから市場を散歩するのが大好きだ。