南海本線のターミナル「難波駅」。正式名称は漢字だが表記はひらがなの「なんば」。高島屋も入居する南海ビルディングは国の登録有形文化財に登録されている。

 大阪府は47都道府県の中でも全国で2番目に狭い。にもかかわらず、各地域によって大きな住民気質の違いがみられる。その原因として考えられるのは、江戸時代に現在の大阪府全体を治めた「藩」が存在しないこと。そして、3つの「国」に分かれていたことが考えられる。

 この「国」というのは、もちろん「国家」のことではない。関東でいうところの「武蔵国」や「相模国」「上総国」「下総国」といった「令制国」のことだ。

 大阪府は「摂津国」(一部兵庫県も含む)「河内国」「和泉国」で構成されていた。これを略して「摂河泉」という。国が違えば、いわゆる「お国柄」も変わってくる。しかも、府下で影響力の大きかった藩といえるのは、高槻藩と岸和田藩くらいのもの。全体を統括できる権力や行政の機構は存在しなかった。

 これが、「狭いながらも地域独特の特性」を生んだ要因とも考えられ、とくに顕著なのが南海本線とJR阪和線の走る「和泉国」(泉州)地域だ。

 泉州にふくまれる自治体は堺市から岬町までの9市4町。このうち南海本線は和泉市と熊取町をのぞく海沿いのエリアを和歌山市までつなぐ。摂河泉の中でも、泉州は面積の狭い小国だ。となれば、さほど大きな違いも見られない、と考えられがちだが、さにあらず。キーワードとして挙げられるのが「祭り」である。

 泉州住民の特徴として挙げられるのは、「気の荒さ」と「言葉遣いの悪さ」。映画『岸和田少年愚連隊』は特別にデフォルメされたものでなく、「まあ、だいたいあんなもんやろ」というのが、地元の意見ではある。

 泉州は祭りの盛んな地域で、全国的に有名なのは「岸和田だんじり祭」だ。だが、そのほかにも「布団太鼓」と「やぐら」という出しものがある。布団太鼓は堺市、貝塚市、泉佐野市の一部、やぐらは泉佐野市、田尻町の一部と、泉南市、阪南市、岬町の全域、そのほかはだんじりである。

 布団太鼓の「担ぐ」と、それ以外の「曳く」に違いはあっても、基本的には「荒っぽい」とされる祭りだ。泉州人の気性は、祭りで育まれたものといっても過言ではない。

 そして祭礼は、「町会」や「講」と呼ばれる組織で行われる。同じ祭りでも、何百年と続けていくうちに組織によっての特色が生まれてくる。また、祭礼が行われるエリアによっても、地形や見せ場などによる特徴がある。

 この違いが日常にも影響を及ぼす。エスカレートすれば「確執」や「対立」まで生じてしまうこともある。行きつくところは、過大な地元意識と「お前、どこのもんやねん!」という排他性だ。

 この「地元大好き!」という意識は、「甘え」にも通じてしまう。そもそも泉州は、大阪市内への通勤や買い物に便利で、京都の大学へ通えないこともない。山や海にも近く、自然災害も少ない。そのため、生涯、地元を離れない住民が多くいる。

 祭礼の組織に属し、地元にどっぷりはまってしまえば、少々のヤンチャも許される。先輩後輩の「長幼の序」はあるにせよ、それさえ守れば安全だし遠慮もない。それは言葉遣いも同じで、ビジネスライクな敬語は必要なく、標準語の影響も受けないのだ。

 ただし、この「泉州気質」も南海本線とJR阪和線の沿線住民では異なってくる。その点については、次回で説明したい。

南海本線の一般的な車両。「各駅停車」もしくは「各停」でなく、「普通」と表示されているのは 「今宮戎駅」と「萩ノ茶屋駅」には停車しないため。