「それがどうした」と言われたらそれまでだが、私と担当編集Iさんは、〝ウルグアイの刑務所をいちばん訪れている日本人〟じゃないかと思う(違っていたら、すみません)。

 

 1回目、2回目の渡航を合わせると、私たちは、合計3か所の刑務所を訪れた(厳密には、〝元刑務所〟も含まれるが)。

 

(元)ミゲレッテ(Miguelete)刑務所、(元)プンタ・カレータス(Punta Carretas)刑務所、プンタ・デ・リエレス(Punta de Rieles)刑務所。

 

   いずれもモンテビデオ市内にある。

   ミゲレッテ刑務所とプンタ・カレータス刑務所は市のほぼ中心部に、プンタ・デ・リエレス刑務所は郊外に位置するが、それでも、中心部から車で30分もあれば行くことができる。

   これだけ〝好立地(あまり適切な表現ではないかもしれないが)〟な場所に刑務所が3つもあるという現実を鑑みるにつけ、軍事独裁政権下にあった1970年代から1980年代にかけてのこの国に思いを馳せずにはいられない。

   この時代、無数の人が政治犯として逮捕され、裁判なしで次々と投獄されたという。そりゃ、刑務所もたくさん必要になってくるだろうに。

   ちなみに、(元)ミゲレッテ刑務所、(元)プンタ・カレータス刑務所はムヒカが、プンタ・デ・リエレス刑務所は妻のルシアが収監されていた場所である。

 

国会議事堂から徒歩12〜13分、市の中心部にある「(元)ミゲレッテ刑務所」。写真のように廃屋のまま放置されている部分もあるが、一部は、リニューアルされてアートギャラリーとして利用されている。

ムヒカが収監されていた「(元)プンタ・カレータス刑務所」は、ウルグアイ史上最大の脱獄劇が繰り広げられたことでも知られている(ムヒカを始めとする政治犯100人が集団脱獄した)。現在は、建物をそのまま生かす形でショッピングモールに生まれ変わっている。

 私たちが訪れた刑務所のうち、今も現役なのは、プンタ・デ・リエレス刑務所だけだ(詳しくはvol.9を読んでいただきたいが、ミゲレッテ、プンタ・カレータスの両刑務所は、現在、別の施設に生まれ変わっている)。

 

かつてルシアが収監されていた「プンタ・デ・リエレス刑務所」は、モンテビデオ市の東北、市街地から車で30分弱のところにある。現在も刑務所として機能しているため、周りは塀で囲まれている。

「ルシアさんが収監されていたということもありますが、所長(取材時の)さんが元ツパマロスの活動家で、軍事政権時代には10年くらいヨーロッパなどに亡命していた人なんですよ。あの時代(ムヒカやルシアが革命家として闘っていた時代)の話を聞けると思います」

 

 通訳兼コーディネーターの森さんから言われ、私たちは、プンタ・デ・リエレス刑務所を訪れることになったのだった。