文と写真・サラーム海上

 

人気カフェ&ベーカリーグループのパン工房見学

 2019年9月4日、怒涛のポーランド7泊8日取材もついに最終日となったが、僕は当然早朝から忙しい。正午の出発の前に人気カフェ&ベーカリー『Charlotte(シャルロット)』グループのパン工房の見学と同社の女性オーナーとの朝食ミーティングが待っていた。

 早朝6時半、通訳の小見アンナさんとホテルのロビーで待ち合わせ、二人でタクシーに乗りこんだ。ワルシャワの中心地はなんとなく地の利がわかってきたが、そう思える頃には旅は終わってしまう。残念だが、気に入った場所はまた来ればいいだけのことだ。

 早朝なので道は空いていて、15分もしないうちに郊外の住宅地に入り込んだ。高層マンションの周りに広い公園の緑が目立つのが、いかにもヨーロッパらしい風景だ。

 住宅地に接した路面型のスーパーマーケットの角でタクシーを降りた。パン工房はそのスーパーマーケットの裏の搬入口横に入っていた。

 呼び鈴を鳴らすと、Tシャツに半ズボン姿のガタイの良い二人のアニキが迎えてくれた。パン職人のヤツェクさんとヤコブさん。毎日、午前一時から出勤して、午前9時や10時までかけて1日分のパンを焼いているという。愛するパンのために完全に夜と昼が逆転した生活をしているのだ。

シャルロット・グループのユダヤのパンにフォーカスした店『Charlotte Menora』。ジンガー・フェスティバルの会場にも使われていた

ワルシャワ北部にあるシャルロット・グループのパン工房

 そんなパンを焼く香ばしい香りをたっぷり肺に吸込みながら中に入ると、前日に訪ねたクラクフの歴史的パン屋『私の父のベーカリー』(#81)と比べて、こちらは窓が大きく、室内がとにかく明るい。そして、工房の主役と言えるガスオーブンも最新鋭だ。

 オーブンは高さ2.2m、横幅2.5m、奥行き2mほどのステンレス製で、正面に横幅1.5mほどの窯口が縦に四段重なっていて、一段ごとに左右3つの強化ガラス製の扉が付けられている。扉を開けなくとも中が見えるように庫内灯も明るい。正面の上方には大型の天パンを直接窯口に出し入れするためのハンドリフトが取り付けられている。これなら力仕事も最小限に抑えられる。作業場に何気なく並ぶニーダーもモルダーも新しい機械だった。

 「材料を入れたら、あとは機械が作ってくれるからそれほど難しくはないよ」とヤコブさん。いやいや、そんなはずないでしょう!

 オーブンから漂ってくる芳しいパンの香りに我を忘れてしばし佇んでいると、シャルロットの広報担当の女性ドロタさんが現れた。

 「おはようございます。良い香りでしょう! この工房は今年の夏にオープンしたばかりで、私達の長年の夢がかなう場所なんです。これまではお店のキッチンの限られたスペースだけでパンを作ってきたんです。

 シャルロットは市内に2店舗あります。その他、ユダヤのパンにフォーカスしたシャルロット・メノラー、そして今年の7月には温かい料理も出す新店シャルロット・ブイヨンを開きました。

 この工房では看板メニューであるシャルロットという名前の大型のパン、フランス式のバゲット、そしてユダヤのパンであるハッラーとベーグル、さらに甘いペストリーを幾つか作っています。その中から今日はハッラーとベーグルの作り方を見学できますよ」

 

パン工房中央に鎮座する最新のガスオーブン。上方右側に伸びているのがパン生地を効率よく出し入れするためのハンドリフト

オーブン正面。全部で12箇所の窯口が確認できる

看板メニューであるシャルロット。一本が約1kgで18zl.=540円

フランス式のバゲット。表面カリカリで美味そう!