「ハッラー」はユダヤの祭りの際に食べるパン
ヤコブさんがニーダーからパン生地の大きな塊を取り出す。ちょうど餅臼から取り出した餅のようだ。その塊をドーンと作業台に乗せ、ひとつかみずつちぎって、秤で計量し始めた。その左でヤツェクさんが小さな生地を両手のひらで丸めてから、木のめん台の上で紐状に伸ばしていく。
直径2cm、長さ30cmほどの紐を6つ、川状に並べたら、奥側の端を一つにくっつける。そして、手前側の紐を一旦扇子状に広げ、そこから三編みならぬ、六編みに織り込んでいく。全ての紐を編み上げたら、最後に形に整える。
サッ、サッ、サッと、その速さったら、数日前に訪れたユダヤ文化プログラム『シャバット・シャローム』(連載#78ワルシャワ・ジンガー・フェスティバル取材記)で目にしたのと同じハッラーがたったの20秒ほどで出来上がるのだ。数分のうちに目の前に4つのハッラーが編み上がった。
「編む順番が決まってるから、身体が覚えているんだよ」とヤツェクさん。二人からは職人らしい謙遜する言葉が出る。
ハッラーについてドロタさんがさらに詳しく説明してくれた。「ハッラーはシャバットをはじめユダヤの祭りの際に食べるパンです。六編みのものだけでなく、三編みのものなど幾つかの形があり、祭によって形を変えて焼きます。甘いものや塩っぱいものもあり、水だけのもの、牛乳を使うものもあります」






