文と写真/サラーム海上

 

 

ポーランドにおけるユダヤ料理の今昔

 2019年8月末から9月上旬にかけて訪れたポーランド。たったの7泊8日の滞在だったのに、気づくと既にTabilistaで11項目も記事を書いていた! 

 ポーランドには東ヨーロッパ、スラブ、旧共産主義、中世キリスト教、ユダヤ教、ホロコースト、そして21世紀のグローバリゼーションと様々な側面があり、その1つ1つが興味深いのだが、一回の短い取材旅行で全てを見渡すのは不可能だ。しかし、それでも、ここまで多くの収穫があった。毎日、朝から晩まで僕につきっきりでポーランド語を日本語に同時通訳してくれた通訳の小見アンナさんのおかげだ。この場を借りて、彼女にお礼を述べたい。(読んでてくれてるはず!)

 

 さて、今回はそんなポーランド編の最終回。若者の間で人気のユダヤのベジタリアン朝食ブッフェ、そして、一世紀前のレシピに沿ったユダヤ伝統料理、更に現在ポーランドでトレンドともなっているイスラエルのヴィーガン料理の3つ、ポーランドにおけるユダヤ料理の今昔を取り上げよう。

 

 9月1日日曜午前10時前、僕はアンナさんに連れられ、ワルシャワ中心地のセントラム地区を歩いていた。繁華街に面した通りから、細い路地を曲がると、急に静かな中庭のような場所が広がり、そこにこの日の最初の目的地、『JCC Warszawa(ユダヤコミュニティセンターの略)』があった。

 ポーランドにはユダヤ人の団体が数多く存在していて、中でもJCCは若者が多く、現代のユダヤ文化を外側に伝えるためのプログラムを数多く行っている団体とのこと。JCCの隣にはなんとドイツ文化を世界に広めるための文化施設ゲーテ・インスティテュートが建っていた。

 ユダヤとドイツは今も因縁の仲と思われがちだが、ドイツ政府は長年かけてユダヤ人に対してホロコーストの謝罪を行い続けてきた。その甲斐があって、僕の友人でもドイツに拠点を移して活動するイスラエル人アーティストたちは少なくない。日本でも人気のイスラエルの若手シンガーソングライター、Jラモッタ・すずめもベルリン在住だ。

 

ワルシャワ・セントラム地区の静かな一角にあるJCC Warszawa(ユダヤコミュニティセンター)

 JCCは二階がイベントホール、そして一階はカフェになっていて、毎週日曜の午前中はユダヤの食事規律コシェルートに基づいたベジタリアン料理を幾品か並べ、ブッフェ形式で提供している。料金は25ズロチ(約750円)。

 10時からのスタートで、店内のテーブルにちょうど料理が並び始めていた。大皿にはビーツとブルグルと青ネギのサラダ。マゼンタとグリーンの鮮やかなコントラストはいかにもイスラエル料理だ。更に茹でた人参のサラダ、ポテトサラダ、グリーンサラダ、りんごやベリーのピュレ、オートミールやマフィンなどなど。ちょうどイスラエル料理とポーランド料理が半々だ。パンとコーヒーもおかわり出来る。

 

 テーブルにお皿が並ぶに連れ、カフェに次々と若者たちが集まってきた。隣のテーブルの若者二人に話しかけると、二人ともユダヤ人ではなく、ポーランド人だった。しかも一人はワルシャワではなく、ベルリンに住んでいると言う。ユダヤ料理については何も知らなかったが、他のお店と比べてヘルシーな野菜料理中心で、しかも値段も安いので、週末にワルシャワに遊びに来た時は必ずここで朝食を食べるのだそうだ。

 朝食ブッフェと言っても正午で終了するわけではなく、多くのお客さんたちはお店で友人と待ち合わせ、お腹いっぱいになって、友人たちが揃うまで、午後いっぱいゆったり過ごすそうだ。

 

JCC Warszawaのカフェでは日曜限定の朝食ブッフェが開催中

JCC Warszawaの朝食。各テーブルにこのように大皿料理が並び、お客はブッフェ形式で分け合っていただく