2022年もまもなく3月11日がやってきます。縁あって宮城県石巻市の観光コンテンツ発信業務を請け負ったのが2018年の冬でした。それから約3年、震災から11年目を迎える「東日本大震災石巻市追悼式」に参加することになりました。取材当時にお世話になった石巻の皆さんと再会するにあたり、2018-2019にお届けした「石巻・牡鹿半島/絶景・美食・縄文」のアーカイブ記事をお届けします。これら記事を取材した頃からまちはどのように変わったのか、その模様もサイト内で紹介しようと思います。

 

はじめに
「松島」、「石巻」、そして「牡鹿半島」。

 

「タビリスタ」=「旅の達人」。連載していただいているタビリスタのみなさんは、それぞれの得意ジャンル(専門分野)でテーマにこだわった「旅」を文章や写真という形で提供してくれています。人はそれぞれに様々な嗜好性を持っており、「旅」の楽しみ方もまた十人十色です。

 いま「地方創生」という旗印のもと、日本各地で地域の特色を活かした取り組みが盛んに行なわれています。「TABILISTA」でも「旅」を通して、多くの地域でこうした取り組みを取材してきました。そうしたなか、2018年に宮城県東部の牡鹿半島を訪れる機会があり、この地域が進めている「農山漁村振興推進計画」というプロジェクトの存在を知ることとなったのです。

 

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 宮城県石巻市東部の沿岸地域は太平洋に面した海洋性の気候で、内陸と比較すると寒暖差も少なく、年間を通して比較的温暖な地域です。北上川流域には平坦な農業地域があり、石巻市北部から牡鹿半島にかけては海岸部近くまで山が張り出し、リアス式海岸に漁村も点在しています。沖合には、金華山、網地島、田代島など多くの小島が浮かび、多様な地勢上の特徴を有し、風光明媚な景観を形成しています。

「TABILISTA」では、旅人の視点から現地を取材し、地元に暮らす人々が気づかない観光ポテンシャルを様々な角度から引き出したいと考えました。

 

 石巻市では2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で3000人を超える死者を出し、多くの被害が発生しました。震災から7年が経過したいま(2019年)もこの東地区に於いては未だに現状復旧も中途です。大きな産業であった観光に関しても事態は深刻で、ホテルなど中核となる施設の多くも被災したために観光客は激減し、風評被害も重なりインバウンドの客足も遠のいてしまっているといいます。この状況を打破するべく、行政と地元の有志が協力して、農泊や体験型観光を模索して立ち上がりました。これが、「石巻農山漁村振興推進計画」です。「TABILISTA」では、このプロジェクトの主旨に共感し、地域の活性化に繋がる観光客誘致の一助となればと、この連載企画を立ち上げることにしたのです。

 

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 旅をすることで得られる新鮮な感動は、日々繰り返される何気ない光景や会話、食事の中にあります。立派な施設やシンボリックなランドマークがなくても、人は感動を求めて旅に出かけるはずです。連載を通じてこのエリアに潜在する奥深い魅力を発信していくことで、再び多くの旅人が集う場となることを願っています。

 「TABILISTA」の人気連載陣にも実際に現地に行ってもらい、それぞれの視点から寄稿していただきます。『日常にある「非日常系」考古旅』の連載が始まったジャーナリストの丸山ゴンザレスさんや、『夫婦で行く1泊2食の旅』を連載する料理評論家の山本益博さん、『韓国の旅と酒場とグルメ横丁』を連載する韓国人紀行作家のチョン・ウンスクさんなど、「TABILISTA」ならではの個性豊かな強力ラインナップでお届けする予定です。 

 

 

 「絶景」、「美食」、そして「縄文」。

 

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 「絶景」「美食」「縄文」は、この地域の3つの観光キーワード。

 京都の天橋立、広島の宮島とともに「日本三景」として全国区の観光名所である松島。その松島から牡鹿半島に続く美しいリアス式海岸の景観は、まさに「死ぬまでに一度は見ておきたい絶景」です。

 中でも奥松島と呼ばれる地域には、「済州オルレ」の姉妹道として作られた「宮城オルレ」のコースが設定され、長閑な農村の風景と美しい海辺の街を堪能しながらのトレッキングを楽しむことができます。「オルレ」とは韓国・済州島を発祥とする徒歩旅行の道のことで、済州の方言で「通りから家に通じる狭い路地」という意味。「宮城オルレ」は、広々とした太平洋と自然豊かな森の道、住民と触れ合える里の道など様々なルートが設定されていて、自然と人間との共存を模索し、自然とともに生きていくという思いが込められています。

 また、縄文時代の遺跡が数多く残るこの一帯には、さとはま縄文の里史跡公園、奥松島縄文村資料館などの施設があり、オルレのコースにも組み込まれています。

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宮城オルレ「奥松島コース」は、約10キロのトレッキング。縄文の古から続く、松島の原風景を体感しながら、風わたる青の国へ。