文・写真/サラーム海上

■「WOMEX2021」取材で、リスボンから世界遺産の街ポルトへ

 2021年10月27日水曜。この日の晩から今回の旅の目的であるワールドミュージックのエキスポ「WOMEX2021」がポルトガル北部の古都、世界遺産の街ポルトで始まる。そこでリスボンからポルトへと約310kmの北上移動を行った。

 まだ夜が明けぬ午前6時35分にタクシーに乗り、10分でリスボン・アポロニア駅に到着。午前7時発の電車に乗り、ポルトまでは約3時間。ポルトガル鉄道が誇る高速電車アルファ・ペンドゥラールは最高速度220km/hと日本の新幹線ほど速くはないが、振動も少なく、しばらく眠っていたらいつの間にかポルトの近くまで着いていた。

夜明け前のリスボンから特急に乗ってポルトへ。友人たちと仕事が待つ町へ出発!

 午前10時にポルト・カンパーニャ駅に到着し、タクシーに乗り換え、10時25分にはポルト歴史地区のすぐ北側にあるホテル、ポルト・ベイ・テアトロに到着した。するとレセプションでイスラエルの古くからの友人、ダンに2年ぶりに再会した。

「シャローム、ダン。同じホテルとは偶然だね」

「昨夜は他のホテルに泊まったんだけど、こちらのほうがWOMEXの会場から近いし、部屋もきれいだから、今、移ってきたところさ。他にもたくさんのWOMEXの仲間たちがこの宿に泊まっているよ」

 この日の午後はWOMEXの事務局から誘われ、ポルト市観光局が主催する市内観光ツアーに参加した。ホテルまで迎えに来てくれた車には、すでにアメリカやチリ、ドイツ、メキシコ、カナダ、イギリスなどからの同業者=音楽ジャーナリストたちが乗り込んでいた。午前中は街の南側、ビラ・ノヴァ・デ・ガイアにあるポートワインのワイナリーや、WOMEXの会場の一つとなる複合ホール「音楽の家 Casa da Musica」を見学してきたそうだ。

 中世そのままの細い通りから、如何にも現代に造られた地下の広いバイパス道路に入り、しばらくして地上に抜けると、目の前に群青色に輝くドウロ川とその対岸、ビラ・ノヴァ・デ・ガイアの斜面に沿ってオレンジ色をしたレンガの屋根と葡萄畑の緑が広がった。おお、なんという美しい街だろう!

18世紀に起きた大地震と津波で町が壊滅状態となり、その後再建されたリスボンと異なり、ポルトは中世の佇まいが今も残っている。ちなみにポルト歴史地区は世界遺産に認定されているのだ

 ポルトは東西に流れるドウロ川で南北に分断され、北側は中世から続くポルト歴史地区と繁華街、南側のビラ・ノヴァ・デ・ガイアにはワイナリーや住宅地が広がっている。イスタンブルやリスボンも海や川に面した坂の街で、ポルトはそれらよりもずっと小さいのに、坂自体は遥かに急勾配で高低差がキツイ。まだ行ったことはないけれど、ドナウ川に分断された街、ブダペストもこんな感じだろうか?