おみくじ――。それは神様のアドバイスが書かれたスペシャルな印刷物。神社によっては遊び心満載なものを独自で発行していると聞く。関西は神社が多く、古都である京都奈良は言わずもがな別格。ならば私はあえて京都と奈良以外で、大なり中なり小なり片っ端から個性的なおみくじを探しにいこうではないか。
そんな決意を持ち、南海電車・住吉大社駅に降り立った

地元では「すみよっさん」という愛称で親しまれる住吉大社

住吉大社は、日本全国総2300もの住吉大社の総本山だ。広い敷地に社殿が点在し、産業、農業、お祓い、和歌、相撲、航海安全(遣唐使の)と様々なご利益があることで知られる。
住吉大社の駅のホームを出ると、さっそく「さあ引いてみよ」とばかりに、QRコード式のおみくじが出現。
 

スマホでQRコードを読み取るとおみくじ画面が出てくる仕組み。1800年の歴史を持つ住吉大社に吹く文明の風!
スマホの画面。普通のおみくじをクリックしました

そして、ここで出た数字の受け取りはセルフ。住吉大社の鳥居をくぐると、右手に様々なおみくじが置かれたコーナーがある。恋みくじ、こどもみくじ、普通のみくじ……。

とても合理的なおみくじセルフ受付所

200円を入れ、普通のおみくじから十二番の紙を取る。
おお「大吉」! それは嬉しいのだが、項目がたった4つだ。

多くを語らないが、和歌の主張は強い。シンプルかつ風流に運勢を説明する……。これが住吉みくじのスタイルのようである。

後々、私はこのおみくじで大失敗していたことに気付くのだが、それは最後に語るとしよう。

先に、有名な「こどもみくじ」を説明せねばなるまい。

フルカラーイラスト付き。こんな美しいおみくじが用意されているのだ!

私は「神武天皇」を引き当てた。オオッ、日本国の創始者が出るとは「大吉」は間違いない! ……と思いきや、裏を見ると運勢は「吉」。しかも「急がずに 一度止まろう まがり角」という耳の痛い標語まで書かれていた。厳しい。

が、まだまだ立ち止まってはいられない。「招福」で有名な楠珺社(なんくんしゃ)に足を進める。ここには打ち出の小槌型のおみくじがあるのだ。

おみくじは入り口のセルフでいただいたのと同じタイプである

おみくじと一緒に小判が出てきそうで、心が浮き立つ。
小吉が出たが、おみくじの中心に書かれた一文に私は衝撃を受けた。

その横の「取らぬ狸の皮算用」も気になる

「このみくじにあう人、現実をよく見て。」
クッ……。そこは指摘されたくなかった! なんと辛辣な一言。すみよっさんは現実逃避気味な私のクセをお見通しだった。

動揺しつつ、横にある「和歌みくじ」にも手を出す。住吉大社は平安時代より歌道を志す方々が通ったとされる。
私は古の歌人たちの想いも乗せ、筒を振った。第十八番は半吉。古の想いも乗せた割には中途半端な運勢が出た。

 
誰の和歌なのかは謎

私の心が疲れているのか文字の位置的に目立つのか「くろう多き」の部分しか入ってこない。思わず空を見上げる。嗚呼、曇天……。

しかし、普通のおみくじにもデカデカと和歌が書かれているのに、さらに和歌だけのおみくじを作ろうとするとは……。総本山のプライドと心意気を感じる。

私はこの住吉大社みくじ巡りにて、大吉(QRコード)・吉(こどもみくじ)・半吉(打ち出の小槌みくじ)・吉(和歌みくじ)を出した。おおむね吉だが、全体を通し
「欲張るな。コツコツ頑張れ」
と神様からたしなめられた気がした。1800年の歴史を持つすみよっさんからのアドバイスなら、聞く耳を持つしかなかろう。

 

ところが、帰りの電車引いたおみくじを見返していると、QRコードで引いたおみくじがおかしい。
あれっ、「十二番」を引いたはずなのに?! なぜか「第八番」のおみくじを間違えて取ってしまっていたことに気付いた。

なんで十二と八を間違えたのか。撮った写真を拡大して謎が解けた。棚の上下を間違えて取ってしまったようである。

しかし私を誰が責められようか。見ていただきたい。間違えやすい!

セルフの穴、ここにあり……。すみよっさんでおみくじを引く方、気を付けられたし。