郷土の味に出会える火曜日のメルカート

  翌朝、宿でマヌエラさんに、「昨夜のオステリアは素晴らしかった!」と絶賛すると、「テルモリの魚介類は最高でしょう? そういえば、今日は火曜日だから魚市場が出るわよ。良かったら行ってみれば?」と言われた。なんでもテルモリでは漁師は夜、海に出て漁をし、夜中のうちに競りを終えて翌朝市場に並べるのだそうだ。土日は漁をしないので、月曜の夜に獲れた魚を一般人が買えるのは火曜の朝。そのため、火曜日の朝の魚市場は週のうちで一番活気があるのだとか。おすすめに従って、早速市場が開かれている新市街の広場へ向かった。市場は鉄道の駅を挟んだ2箇所で開かれているというので、朝の散歩がてら両方行ってみることにする。

 ボルゴから歩いて5分ほどの新市街の広場に着くと、ピチピチした新鮮な魚介類がずらっと並んでいる。   「シニョーラ!獲れたてだよ!味は保証付だよ!」と早速声をかけられた。買っていきたいのは山々だが、生憎旅行者なので諦めるしかない、と言うと、周囲にいた魚屋のお兄ちゃん、おじいちゃん達は「あ〜」とがっかりしながら頷く。「ところで、ペスカトリーチェってどの魚?」昨夜のパスタを思い出しながら尋ねると、お兄ちゃんはさっと魚を取り上げ、「これだよ。写真撮って!」とポーズを構えた。なんとも開けっぴろげというか、人懐っこい人達である。私がシャッターを切っていると、今度は隣の魚屋のおじいちゃんが肩をツンツンつついて、「あっちにもいろんな魚があるよ」と教えてくれる。ペスカトリーチェを始め、ヒラメやたくさんの種類のイカ、タコ、エビ、シャコ、見たこともないような色鮮やかな魚など、アドリア海の海の幸が勢揃いした市場は、見るだけでも楽しい。広場には、魚を中心に近郊の酪農家が特産の「カチョカヴァッロ」をはじめとするチーズを売る屋台や果物、野菜の屋台も出ていた。魚屋の爺さんの猛烈なおすすめで、私もカチョカヴァッロとトリュフ入りペコリーノを買った。ローマの食材屋ではお目にかかれないほど新鮮で高品質なチーズが3分の1程度の値段で買えて、朝から大満足。

 お買い物を想定して持参した携帯用リュックを開き、早速獲物を詰め込む。さて、次は駅の反対側で開かれているというもう一つの市場へ行ってみるか。チーズで重くなったリュックなど気にもせず、火曜の朝のトレジャーハンティングにワクワクしながら軽快なリズムで再び歩き出した。

 

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毎週火曜日の朝に開かれる新市街のティモテオ広場の市場(上)。珍しいアドリア海の海の幸は見るだけでも興味深い(中上)。地元の魚「ペスカトーレ」を手にポーズを取る魚屋の兄ちゃん(中下)。特産品の「カチョカヴァッロ」を売る酪農家の屋台(下)

 

★テルモリの街をアルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)という観点から紹介した記事が、TABILISTA内の「石巻/牡鹿半島」に寄稿されています。『イタリアの過疎の集落を蘇らせた「アルベルゴ・ディフーゾ」体験』はコチラから。

 

★ MAP ★

Termoli_map

 

<アクセス>
ローマから特急・急行でFoggia/フォッジャまで行き、そこから各駅電車でテルモリへ。ミラノからはボローニャで乗り換える。いずれも乗り換えの待ち時間などを入れるとローマから最短で4時間半、ミラノからは最短で5時間15分ほどかかる。ローマからはテルモリへ直行するバスがティブルティーナ駅前のバスターミナルから出ている。所要時間は約4時間。遅延・乗り継ぎの失敗が起こりがちな列車より、本数は少なくとも直行で行けるバスの方が便利かもしれない。

<参考サイト>
テルモリ観光情報(いずれも伊語)
https://www.termolituristica.com/

http://www.comune.termoli.cb.it/turismo.html

https://www.moliseturismo.net/luoghi/termoli/

オステリア・デントロ・レ・ムーラ/Osteria Dentro Le Mura
https://www.osteriadentrolemura.it/