2月13日の『肥沃な火曜日(martedì grasso)』で、今年のカーニバルも一段落を迎えた。カトリック・キリスト教では、これからパスクア(復活祭)までの40日間は清貧を心がけ、信仰心や精神性を高めるための期間とされている。この清貧生活に入る前に、食べて騒いでのお祭りを繰り広げるのがカーニバルで、ヴェネツィアやヴィアレッジョを筆頭に、イタリア各地でさまざまなイベントが開かれる。ローマ郊外の街・チヴィタ・カステッラーナは普段は極めて地味な街なのだが、毎年カーニバルの期間になると必ずスポットライトが当たる。この小さな街で繰り広げられるカーニバルのパレードを目当てにイタリア各地から観光客が押し寄せるようになり、今ではラツィオ州および中央イタリアで最も人気のあるカーニバル・イベントとなった。華やかなカーニバルの雰囲気を味わいに、ローカル電車でチヴィタ・カステッラーナへ向かった。

 

仮装客でにぎわうローカル線の車内

 ローマからチヴィタ・カステッラーナまでは、Atac市営鉄道のローマ=ヴィテルボ線で1時間半。イタリア鉄道(Trenitalia)のヴィテルボ行きしか乗ったことがなかった私は、フラミニオ広場から出発する電車を見て驚いた。落書きだらけの車両を眺めながら本当に走るのか不安になったが、チヴィタ・カステッラーナへ行く鉄道はこれしかない。日頃は通勤客が利用している路線らしいので、ちゃんと目的地へ行くだろうと信じて乗り込んだ。外見のボロさにびびっていたが、車内は予想に反してきれいで快適。ローマの中心部から北西のヴィテルボへ向かいながら、見慣れない郊外の住宅地や緑の丘陵地帯、羊や牛の群れがのんびりと草を食む車窓の風景を楽しんだ。各駅の電車はローマ郊外の住宅地や小さな村の駅をいくつも通り過ぎ、停車するたびに奇妙な出で立ちの乗客が増えて行った。全身真っ白なつなぎにガスマスクを被った若者が乗車してきた時は、「何かあったのか!?」と緊張が走ったが、手元を見るとスマホのゲームに熱中しているようだったのでとりあえずホッとする。ド派手な化粧をしたティーンエイジャー達と中高年のグループ、周辺の住民らしきアフリカ系、アジア系、ロシア系の外国人といった多彩な乗客を乗せたローカル線は、時間通りにチヴィタ・カステッラーナの駅に着いた。

 



メトロA線フラミニオの改札を出て右にAtacの「ローマーヴィテルボ線」のフラミニオ広場駅がある(上)。チケットは3.10€。ローマ市内のバスやメトロと同じく入り口で購入し、刻印して使用する。落書きだらけの車両だが、車内は思ったより快適(下)。