世界中で新型コロナウイルスの蔓延が不安視される中、生来怖がりなローマ人…外を歩く人も少ないような気がする。せっかくの晴天続きだというのに、街中は疑心暗鬼の空気に包まれ、なんともったいない時間の過ごし方をしているのかと残念で仕方がない。一人で家にいると気が滅入るので、親友を誘って郊外へ散歩に出ることにした。陰鬱な気分を一新するには自然の中を歩くのが一番。誘いに二つ返事でOKしてくれた友と二人、車でボマルツォまで足を伸ばした。

 

35体の怪物が潜む「聖なる森」

 2020年1月。が咲きそうなほど暖かな冬の朝、ローマから1時間半のドライブを楽しみながらヴィテルボ近郊のボマルツォに着いた。ボマルツォには後期ルネッサンスの傑作にして今なお多くの謎を残す『怪物庭園』がある。街へ向かう途中にある『Sacro Bosco/サクロ・ボスコ(聖なる森)』の標識に従って右折し、細い道を下っていくと白い平家の建物が見えた。平日の朝とあって人影はなく、恐る恐るドアを押してみるとここが怪物庭園の入場券売り場だった。11ユーロの入場料を払うと、窓口のお姉ちゃんが庭園マップをくれた。チケット売り場の横には謎の多いこの庭園に関する様々な書籍・ガイドブックと一緒に不気味なお土産グッズを並べたショップ、カフェなどもあったが、閑散期のせいか開店休業状態だ。いずれにしろ私たちの目的は散歩にあったので、ショップは横目で眺めるだけにして、早速庭園へと向かった。

 







丘の上の高台にあるボマルツォの村から約1.7kmの郊外にある怪物庭園のビジターセンター(上)。ブックショップで売られているグッズも怪しさいっぱい(中上)。園内に点在する35の彫像と見学ルートが印されたマップは入場券と一緒にもらえる(中下)。ビジターセンターから庭園の入り口まで清々しい森の遊歩道が続いている(下)

 

 小鳥たちの賑やかなさえずりを聞きながら緑の遊歩道を抜けると、苔生した石造りの立派な門が現れた。ここが怪物庭園の入り口らしい。門をくぐると2体のスフィンクスが出迎えてくれた。『眉を開き、唇を結んでこの地を行かなければ、世界の七不思議の最も不思議なものを堪能することはできないだろう』。スフィンクスの下に刻まれた文字を読むうちになんだかワクワクしてきた。さて、聖なる森には一体どんな怪物たちが潜んでいるのだろうか?