イタリアクリスマスと同じくらい重要な祝日とされている「パスクア(復活祭)」は、十字架に架けられたキリストが復活したことを祝うお祭り。春分後の最初の満月の後の日曜日がパスクアのため、日にちは毎年変わる。その前の一週間(聖週間)と翌日の「パスクエッタ」は学校も休暇になる。イタリアには「Natale con i tuoi Pasqua con chi vuoi」(クリスマスは家族と、パスクアは好きな人と)という諺があり、パスクアの期間は友達と一緒にテーブルを囲んだり、ピクニックに出かけたりするのが習慣となっている。
どことなく厳粛な雰囲気がするクリスマスと違い、パスクアは軽やかで楽しい雰囲気に満ちている。2022年のカレンダーでは4月17日がパスクアに当たるが、春の訪れを肌で感じるこの季節、仲良しの友達とわいわい囲む食卓には色とりどりの料理やお菓子が並ぶ。パスクアの伝統料理のキーワードは「パン、卵、仔羊、チョコレート」。素朴な家庭料理がメインなので、レストランではお目にかかれない皿が多い。この時期ならではの季節感あふれるパスクア伝統の料理8品をご紹介しよう。

 

1. パスクアのコロンバ(Colomba Pasquale)

 クリスマスのパネットーネ同様、イタリアのパスクアには欠かせない菓子パン。「コロンバ(白鳩)」という名前のとおり鳩の形をした甘いパンは、1930年代にロンバルディア州の菓子メーカーMotta社が開発した。発売以降、瞬く間にイタリア全土に普及し、今ではパスクアのシンボルにもなっている。

 



スーパー、食材店、お菓子やさんもバールも、この時期は店内にコロンバが山のように積まれている(上)。甘くてふわふわの菓子パンをメレンゲでコーティングし、アーモンドで飾った伝統的なコロンバ(下)。チョコレート入りやクリーム入りなどバリエーションも豊富にある。

 

2. ウォーヴォ・ディ・パスクア(L’Uovo di Pasqua)

 コロンバと共にイタリアのパスクアに不可欠なイースター・エッグ。卵はキリストの復活のシンボルとされていて、色とりどりの飾りを卵に施す習慣は中世時代からあったそうだが、現代イタリアでパスクアの卵といえば、「卵型チョコレート」。大小さまざまな卵型チョコレートは中にサプライズが入っていて、子どもはもちろん大人も夢中になる。

 



大きさもデザインも様々な卵型チョコレート「ウォーヴォ・ディ・パスクア」。お値段はピン・キリで、スーパーの市販品なら5ユーロぐらいから、職人が作る芸術作品のような卵は100ユーロ以上するものもある(上)。卵を割ると中にサプライズのプレゼントが入っている。子ども向けにはおもちゃが、大人用にはジュエリーや旅行券などが入っているものもあり、プレゼントの品によってお値段も変わってくる(下)

3. ピッツァ・ディ・パスクア(Pizza di Pasqua)

 トスカーナ、ウンブリア、ラツィオ、マルケなど、主に中央イタリアでパスクアの朝食に出される「パスクアのピッツァ」。ピッツァと言ってもお馴染みのそれとは違い、ケーキの形をしている。甘いピッツァと塩味ピッツァの二種類があり、塩味のものは小麦粉、ペコリーノ、パルミジャーノ・チーズが入っている。赤ワインと合わせ、サラミやチーズと一緒に食べる伝統があり、翌日のパスクエッタのピクニックの定番メニューでもある。 

 

「ピッツァ・ディ・パスクア」は地域ごとに名前もレシピも少しづつ異なるが、ベースとなる材料は小麦粉とペコリーノ、パルミジャーノのチーズ。甘いタイプはマルサラ酒、アニス酒、ラム酒などが入っている。見た目よりもどっしりと重く、サラミやチーズ、赤ワインによく合う。