■小さな名店の名物、絶品の海鮮雑炊

 午前中から5杯のポートワインでほろ酔い気分になったので、川岸の散歩を続けよう。ドン・ルイス一世橋の一番下の歩道を通って、ドウロ川を渡り、前日にも歩いた川沿いの石畳の道、カイス・ダ・リベイラ通りを西へと歩く。ここからWOMEXの昼の会場となるアルファンデガ・コングレス・センターまでは徒歩10分ほどだ。午後はコロナ禍で会えずにいた世界中の音楽業界の友人たちと再会し、注目の音楽アーティストたちにインタビューを行うのだ。その前に軽く腹ごしらえをしておこう。

 昼食はカイス・ダ・リベイラ通りから細い脇道サン・ニコラウ通りの階段を数歩登ったところにある小さなお店『Adega Sao Nicolau(アデーガ・サン・ニコラウ)』へ。グーグルマップで見つけたこのお店はお昼の12時半開店だが、到着した12時にすでに一組が並んでいたので、僕たちも並ぶことにした。すると開店時までに僕たちの後ろに長い列が出来ていた。

 開店と同時に野外席に座り、サラダ・ミスト(ミックスサラダ)、野菜スープ、そして名物というアロシュ・デ・マリスコス(海鮮雑炊)2人前、さらにヴィーニョ・ヴェルデのボトルを頼んだ。アロシュ・デ・マリスコスは出来上がるのに20分以上かかると言われたが、ワインを飲んで、サラダをつついていれば、20分なんて待つうちに入らない。

サン・ニコラウ通りの階段を登ったところにあるアデーガ・サン・ニコラウ
アベッソという地元葡萄品種のヴィーニョ・ベルデを開けて、海鮮雑炊を待つ
ポルトガルではシンプルなサラダ・ミストが美味しい
冬が始まる直前で、ちょっと寒いので人参とキャベツのスープもいただいた

 実際には30分以上経ってから運ばれてきたアロシュ・デ・マリスコスは直径24cmの鋳鉄の鍋にたっぷりの量! 重たい蓋を開けると、まず海鮮の良い香りがムワ〜っと立ち上る。その湯気の中にはパプリカパウダーとトマトでオレンジ色に染まったスープ、さらにスープの中にはムール貝、アサリ、むきえび、有頭海老がこれでもか!いうほど大量にぶちこまれ、ふっくらと炊きあがったインディカ米が顔を出している。そして香菜が緑色のカウンターを加えている。

待つこと30分、これがアロシュ・デ・マリスコス、海鮮雑炊! 大きな海老、小さな海老、ムール貝とアサリ! 

 レードルでお皿にすくって、海老の殻をバキバキと外しながら、お米とスープをスプーンですくっていただく。美味い!美味すぎる! しかも、大量で食べても食べても終わらないくらいの量に悶絶! 三日前にリスボンのアレンテージョ料理店でいただいたアロシュ・デ・ポルボ(蛸雑炊)といい、こちらといい、ポルトガルの雑炊とは、魚介ダシ好きにとっての涅槃と言って間違いない!

食べても食べても海老や貝がザクザクと出てくる! ここは魚貝好きにとっての涅槃か?
特製ピリピリをふりかけるとさらに風味がアップ!