バールで楽しむお手軽&極上ランチ

 大聖堂と洗礼堂で中世時代の至宝の芸術にどっぷり浸り、心と頭にたっぷり栄養を補給した。次はお腹にも栄養を補給しようと、ランチの店を探しに通りを歩き出す。エミリア・ロマーニャ州の他の街と同じく、パルマもやはり長い昼休みがあるようなので、焦らずじっくりと美味しそうな店を選ぶことにした。通りに並ぶウィンドウを眺めると、美味しそうなプロシュットやサラミ、パルミジャーノ・チーズの塊がたくさん陳列されていて、思わずお腹が悲鳴を上げる。

 パルマ最初の一皿は、やはり美味しいプロシュット・ディ・パルマを味わいたい、と心が決まった時、目の前にあるバールのランチメニューに「パルマ産プロシュット、サラミとトルテッリの盛り合わせ」と書かれているのが見えた。パルマの代表料理をちょっとずつ手軽に味わえるランチメニューだ。料金もドリンク込みで12ユーロと良心的だったので、即決してテーブルに着いた。

 運ばれてきたワンプレートには、色も鮮やかなプロシュットとサラミ、一口サイズのトルテッリが並んでいる。フォークで丸めてプロシュットを口に入れると、デリケートな芳香がふわっと広がった。パルマのプロシュットは塩加減も香りもとても繊細で、透けるような薄切りなので口当たりも柔らか。焼きたてのパンワインに合わせると、いくらでも食べられそうな気がしてくる。郷土料理のハーブとリコッタチーズのトルテッリも同様に優しい味わいで、美食の都の実力が垣間見れるワンプレートである。パルマの旧市街では、レストランに入らずともバールで極上のプロシュットが手軽に味わえることを知って、なんだかすごく得した気分になった。

 



バールのワンプレートランチ。手軽に美味しいプロシュットを味わうにはレストランよりもバールがオススメ(上)。通りを歩いていると、バールや食材店のウィンドウにプロシュットやパルミジャーノ・チーズの塊が並んでいるのが目につく。お土産用に購入したり、その場でパニーノを作ってもらうこともできる(下)。

 

再びアート三昧な午後のひととき

 オープンテラス席で爽やかなランチを楽しんだ後は、再び芸術鑑賞。午後のお目当ては、お気に入りの画家・パルミジャニーノの作品である。向かったのは鉄道の駅にほど近いピロッタ宮殿。16世紀に貴族ファルネーゼ家によって建設された広大なこの宮殿内には、世界最大級のヘブライ語の写本コレクションなどを含む約80万冊の蔵書を揃えたパラティーナ図書館、4000人を収容できる16世紀の貴重な木造劇場であるファルネーゼ劇場、国立考古学博物館、国立美術館がある。1箇所でこんなにたくさんの見所があると知って、入るのに少し躊躇した。チケット売り場で、「全部見るのに何時間ぐらいかかります?」と尋ねると、「図書館、劇場も含めると、急いでも3時間は必要ですね」との答え。しかし、幸か不幸か、「生憎、今日は劇場と図書館は館内整備のため入場不可なんです。でも、そのかわりにチケット代も半額です」と言われ、肩の力を抜いて入ってみることにした。とりあえず、お目当てのパルミジャニーノの作品は見られるし、午後の散歩がてらアート鑑賞をするというプランは、やっぱり魅力的だったから。

 手書きの写本を集めた古い図書館は私を魅了してやまない場所で、そこに入れなかったのは残念だったが、国立美術館もそれだけで十分すぎるほど訪れる価値があるスポットだった。15世紀から18世紀にかけてパルマで活躍した画家達の作品がずらっと並び、特にマニエリスムを代表する画家・パルミジャニーノ、コレッジョ、さらにはレオナルド・ダ・ヴィンチ、フラ・アンジェリコ、ティントレットなどの作品も展示されている。ひっそりと静まった館内に並んだ珠玉の芸術の数々をたっぷり時間をかけて鑑賞しながら歩くのは、とても贅沢な気分。ダ・ヴィンチの『ほつれ髪の女性』やパルミジャニーノの『トルコの女奴隷』といった作品を、文字通り独り占めして心ゆくまで堪能することができた。

 







パーチェ広場に面した広大なファルネーゼ家の館ピロッタ宮殿の入り口。1580年頃に建設された(上)。館内にあるパラティーナ図書館のエントランス。残念ながら今回は見学できなかったが、パルマの必見スポットの一つ(中上)。国立美術館のエントランス。ほぼ貸切状態でゆっくり鑑賞できたのは嬉しかった(中下)。一心不乱に作業する修復師の女性。こんな光景に出会えるのも平日の午後ならでは(下)。