いよいよ本格的な行楽シーズンがスタートした。イタリア各地に世界中からのツーリストが押し寄せるこの季節は、有名観光スポットやレストランも事前予約が必須である。とはいえ、旅先のスケジュールが何もかも予約済みというのはなんだか窮屈にも感じる。特に食事はその日その時で気分も腹具合も異なり、事前にそれらを知ることは不可能。さらに、一人旅の場合は食べられる量も限られるから、旅行中の全食事をレストランで食べるというのはちょっと無理があるだろう。そんな時にオススメしたいのが、最近イタリアで人気を呼んでいる「メイド・イン・イタリー」のファスト&ストリートフード。従来、ファストフードと言えば大手ハンバーガー・チェーン店かバールのパニーノ、ローマなら切り売りピッツァくらいしか選択肢がなかったのだが、ここ数年、イタリア各地に『味と品質にこだわったファストフード』の店が急増。厳選した国産食材を使い、イタリアの伝統料理をベースにした安く気軽に食べられるメニューの数々は、旅行者はもとより一人でサクッと食事を済ませたいイタリア人にも歓迎されている。今回は、旅先で手軽に味わえるイタリアの代表的なファストフード・メニューと店舗をご紹介しよう。

 

1. スップリ(Supplì)

 ピッツェリアの前菜メニューとしてお馴染みの「スップリ」は、シチリアのアランチーノよりも小ぶりなローマ生まれのライスコロッケ。「サプライズ」を意味するフランス語のシュルプリーズのイタリア語訛りが名前の由来で、中にびっくりするような美味しいものが入っていることからこの名がついたと言われている。代表的なスップリは「スップリ・アル・テレーフォノ(電話のようなスップリ)」で、嚙ると中のモッツァレッラチーズが電話線のように長く伸びるのが特徴だ。

 大人も子どもも大好きなスップリは、ピッツエリアや惣菜類を置いている食材店、バールなどでも食べられるが、最近注目されているのは中身の具と味にこだわった「スップリ専門店」。トラステヴェレ地区にある『Supplì Roma(スップリ・ローマ)』、ナヴォーナ広場近くにある『Supplizio(スップリツィオ)』を始め、ローマの旧市街には「スップリの名店」と評判の店がいくつかあり、一日中、いつでも揚げたてアツアツの美味しいスップリが味わえる。中の具は、定番のトマトソース味のご飯にモッツァレッラが入った「クラッシコ」を筆頭に、カルボナーラやカチョ・エ・ぺぺなどローマの代表的なパスタの味を小さなライスコロッケに凝縮したものなど盛りだくさん。1個1.5〜3€程度でローマの伝統的な味が楽しめる。食事時に様々な味をたくさん食べてみるのも良し、ちょっと小腹が空いた時におやつ代わりに食べるのも良し。小さくても大満足間違いなしのファストフードだ。

 







片手でパクッと食べられるライスコロッケ「スップリ」。いろいろな味を食べ比べてみるのも楽しい(上)。下町トラステヴェレの名店『Supplì Roma(スップリ・ローマ)』の店内。お昼時は大混雑する。名物のスップリの他、ラザーニャや惣菜類も。イートインスペースもある(中上)。オックステールの煮込み「コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ」が入ったスップリ(2€)は絶品(中下)。シンプルながら食べ応え十分の「カチョ・エ・ぺぺ」のスップリ(1.5€)も人気商品(下)。