一年中がトップシーズンと言っても過言ではないヴェネツィア。美しい秋晴れが続く季節、10年ぶりにヴェネツィアを訪れた。トップシーズンは過ぎていたが、ヴェネツィア本島は噂通り、世界中からの観光客で溢れかえっている。ラグーンに浮かぶ「アドリア海の女王」は、中世時代からの美しさを今もなお保ち続けているが、旅先で生活者の息吹を感じたい私には何かが物足りない。そこで、あえてヴェネツィア本島を抜け出し、水上バスで小さな島々を巡ってみることにした。

 

乗りこなすのに苦労する水上バス「ヴァポレット」

 自動車の乗り入れが禁止されているヴェネツィア本島及び周辺の島々で、唯一の移動手段となるのが「ヴァポレット」と呼ばれる乗り合い。運河のあちこちに停留所があり自由に乗り降りできるのだが、20以上の航路の全ての停留所を把握するのはツーリストには不可能だ。さらに、カナル・グランデ(大運河)を通るヴァポレットは停留所が左岸→右岸→左岸とジグザグになっているのもややこしい。航路Mapと地上Mapを見比べつつ、どの停留所が目的地に一番近いのか、事前に詳しく調べておく必要がある。料金も非常に高く、一番安い75分間有効のチケットが7,50ユーロもする。75分以内に的確に乗り継げる自信があるか、一回のみでOKという人ならこれで大丈夫だが、水上バスであちこちを見て回りたいという人には、24時間何度でも乗り降りできる一日券を購入した方がいいだろう。これさえ持っていれば、乗り間違えたりしても安心だ。

 自他共に認める方向音痴の私は、もちろん一日券を買った。サン・マルコ広場の先にある大きな停留所は、複数のヴァポレットが乗り入れしている。「ムラーノ島に行くのは何番? 14番で間違いないのね? どの桟橋から乗ればいいの?」チケット売り場のお兄ちゃんに何度もしつこく確認する。サン・ザッカリアの桟橋から14番の水上バスに乗り込む時にも、「これ、ムラーノ島に行くのよね?」と三度確認し、ようやく船内に乗り込んだ。

朝から晩まで大勢の観光客で溢れかえっているサン・マルコ広場(上)。
ヴェネツィアの交通手段「ヴァポレット」。ヴェネツィアではタクシーも救急車もパトカーも全て船
運河沿いの各所にあるヴァポレットの停留所
水上バスはヴェネツィア本島のみならず、周囲の小さな島々も巡回している。