文・写真/サラーム海上

 

 

■ポルトの街で連日の音楽取材、ライブの合間に何を食べようか

 2021年10月28日木曜、ポルトガル北部の街ポルトでは午後から雨が降り始め、前日までの温かさが嘘のようにどんよりとした寒空に変わった。この日、ヨーロッパは夏時間から冬時間となり、時計の針が一時間巻き戻された。暦の上で冬が始まっただけでなく、実際にこの日の午後からは防水パーカーとカーディガンなしには外出できなくなったのだ。

ポルトに突然冬がやってきた!

 ワールドミュージックのエキスポ「WOMEX2021」では5日間で60組以上のアーティストが40分ほどの短いライブ演奏を行い、僕たち参加者は市内の5~6箇所の劇場やライブハウス、クラブを行ったり来たりして、演奏を楽しむ。幸い僕が泊まっている宿は夜のメイン会場、格調高いポルト市立リボリ劇場のすぐ横にあり、疲れたらすぐに帰れる距離だった。

 そのリボリ劇場の横に建てられた巨大な仮設テントでは、毎晩、アフリカや中南米のダンスミュージック系アーティストの演奏が行われた。そこで最初に衝撃を受けたのは、ウガンダの巨大木琴楽団The Nakibembe Xylophone Troupe(ザ・ナキベンベ・ザイロフォン・トゥループ)。巨木をくりぬいた鍵盤を横に並べた巨大木琴を、総勢8人が8方向から叩く。最初はシンプルなリズムの繰り返しが次第に複雑に絡み合っていく。まるでリズムのタペストリー。さらにそのタペストリーの上で、別のリズムの叩くメンバーが出てきて、いったん壊されたタペストリーに更に新しいタペストリーが生み出される。生命力の強いミニマル音楽だ。巨大な鍵盤から弾き出される超低音も気持ちイイ!

WOMEXは毎晩のショーケースライブこそ本番
ウガンダの巨大木琴楽団The Nakibembe Xylophone Troupe。バリ島の巨竹アンサンブルのジェゴグを思い出した

 コートジボワールの女性ベーシスト、Manou Gallo(マヌー・ガロ)もパワフルなだった。アフロビートやハイライフなど、21世紀中頃の西アフリカのダンス音楽をバンドがグルーヴィーに演奏し、彼女はエレキベースをスラップ&チョップ(叩く)しまくるのだ。西アフリカ音楽において、一見地味な楽器であるベースが主役、しかも女性ベーシストが主役というのは初めて見た。ワールドミュージックにおいてもジェンダー問題は少しずつ解消されている。

コートジボワールの女性ベーシストManou Galloは超絶テクニシャン
アンゴラのダンス音楽クドゥロの歌手Pongo。ポルトガルらしいサウダーデ(哀愁)を帯びたメロディーと激しいEDM系クドゥロ・サウンド