2020年の春から発動していたイタリア政府の新型コロナ感染防止を目的とした「非常事態宣言」が、4月1日から解除された。マスク着用の義務は一部の場所で4月30日まで続くが、コンサート会場やスタジアムなどスポーツ施設では、屋内・屋外を問わず収容人数の100%が利用可能になるなど、2年間にわたって日常生活のさまざまなシーンに課せられていた規制が徐々に取り除かれつつある。非常事態が解除されたことにより、コロナ対策の専門家委員会も解散になり、感染状況によって敷かれていたゾーン分けもなくなった。陽性者以外の接触者の隔離、グリーンパスの提示なども段階的になくなっていく。

 

 とはいえ、新型コロナの新規感染者数は現在も1日6万人前後という数字が出ている。感染力が非常に強いオミクロン株のさらなる変異株が出回っていることもあり、政府は「非常事態が解除されても引き続き慎重な感染対策が必要だ」と述べている。実際、この春は私の身近な人たちの中にも感染した人がいた。近所の住民や友人、知人、皆まじめに感染対策を徹底していて羽目を外すような人たちではないが、それでもある日突然「コロナ陽性」と判断されたという。話を聞くと、ほとんどが同じような症状だった。まず喉の痛みがあり、翌日に発熱。熱は1日で下がって、あとは軽い咳が残るか無症状というもので、ワクチンの効果もあってか、大体の人は軽症ですぐに回復した。「普通のインフルエンザと同じか、それよりちょっと軽い程度だった」と、ある友人は語っている。新規感染者が増えているのに、なぜ非常事態を解除したのか?という疑問があったが、この友人が言うように「コロナは普通のインフルエンザと同じようなものになった」というのが理由なのかもしれない。医療施設の状況が安定しているというのも大きな理由の一つだろう。だが、一番の理由はやはり経済にあると思う。過去2年間、「ウィズ・コロナ」という言葉をあちこちで見聞きしたが、感染が広がっている状況の中でコロナ以前の日常に戻った今こそ、正真正銘の「ウィズ・コロナ生活」がスタートしたのだと実感している。

 

サン・ピエトロ大聖堂が見えるテヴェレ川の橋の上を散歩する人々。2年前の今頃は人っ子一人いなかった旧市街に、コロナ以前の日常風景が戻ってきている。