文/ステファン・ダントン

 

「フレーバー茶は世界に向けた日本茶普及の起爆剤になる」という確信を持ちながら全国各地をまわるうちに、私の中に生まれたもう一つの目標がある。「地元産の日本茶に地域の特産品をブレンドして地方の新しい名物をつくること」だ。

 日本茶に地域特産品をブレンドしたオリジナルのフレーバー茶づくりは、2008年のスペイン・サラゴ茶(#5、6)や2010年の沖縄・黒糖ほうじ茶(#9)で実現してはいた。でももう少しこのアイディアを深めたかった。

 「日本全国どこだって、小さな規模でも有名でなくても日本茶の栽培はされている。知られていないから、商売にならないから、細々と地元だけで飲まれているのはもったいない。地域で生産されている果物や野菜、野草と組み合わせてオリジナルのフレーバー茶をつくったら新しい名産品になるはずだ」

 このアイディアが最初に形になったのは2012年。この連載の♯1112で紹介した、高知四万十市の「四万十河原茶」だった。番茶と河原ケツメイの素朴さに、四万十らしい素材のゆず・生姜・唐辛子をブレンドしたこの商品は、四万十の『あにき』との開発の日々の楽しい思い出とともに、私の開発した商品の中でもとくに思い入れのあるものになった。

 「地元産の日本茶に地域の特産品をブレンドして地方の新しい名物をつくること」という私の想いを「四万十河原茶」という形にすることができたのは、『あにき』と私が呼ぶ細木紫朗さんと私の考え方が驚くほど一致していたからだ。

 実際には年下の彼をなんで「あにき」と呼んでいるのか。それは、たくさんの言葉を交わさなくても互いの考えていることがわかりあえる不思議な関係、一人っ子の私が「兄弟ってこんな感じなのかな」と思うような感じがあるから。そして「地元の特産品で地域全体を盛り上げる」活動を長年積み上げてきた先輩として尊敬しているからだ。

 

2018年10月、台北ブリーズセンターの高知フェア“しまんと百笑かんぱに”ブースにて−高知県幡多地域の名産を一堂に紹介する『あにき』のブース、私も「四万十河原茶」で参加した

台北のシンガポール・レストランでこれまでのこと、これからのことを話しながらシンハービールを酌み交わす—『あにき』との時間はいつでも最高