ステファン・ダントン 
 

 東京というのは不思議な場所で、周囲に堀が巡り、環状線が走る皇居が中心にある。その皇居の森の周りには、それぞれ独特のおもしろさを持った「村」が点在している。東京を歩いていると、ある道を境に別の個性を持った村に入ったと感じることがよくある。東京のおもしろさは「村」というか「町内」というか、要はその個性が散らばりながらまとまっているところなんじゃないかと思う。

 

 前回は真夏の日差しの中、東京のパリとも呼ばれる「神楽坂」あたりを歩いたが、今回はそこから少し足を伸ばして東京のカルチェラタン「神保町」あたりを散策することにした。

 

 少しだけ秋らしくなった9月のある日、スタート地点は九段下。平日午後1時過ぎの靖国通りは人通りも少ない。日本橋川に架かる俎橋(まないたばし)の上でふと思う。「この川を下っていけば私の職場がある日本橋だ。この川をで行き来できれば素敵なのにな」

 

 一緒に歩く友人たちは口を揃えて「昔に比べればきれいになったよ! 臭くないし。ほら、鯉も泳いでる」というけれど、もっと積極的に楽しめる川にできないものだろうか。

九段下の駅を出て神保町方面へ

日本橋川に架かる俎橋にて

 「神保町に向かう前に、まずはステファンを案内したいギャラリーがあるんだ」という友人。私はアートにもとても関心があるから、もちろん彼についていくことにした。