古きよき昭和の喫茶店

 神楽坂を下り始めると、すぐに汗が噴き出してくる。真夏の午後は散歩に向かないかもしれない。

 「ちょっと涼みたいな」と弱音を吐く私を、友人が行きつけの喫茶店に案内してくれた。
 店の名は「フォンテーヌ」。明らかに私好みの昭和な看板。地下の店へと階段を降りる。ドアを開けると、低い天井と誰かのお宅にお邪魔したのかと錯覚するような手作り感満載の内装。ソファーに腰を落ち着けるとすっかりくつろいだ気分に。メニューもなんというか、昭和50年代のムード。ミルクセーキやオレンヂジュースなどなど。私はココアフロートを注文した。ここは東京のパリじゃない。昭和の東京だ。

 私は日本の喫茶店が大好きだ。チェーンの小綺麗なカフェではなく、店主が自分の趣味と好みで時間をかけて作り上げた喫茶店が好きなんだ。どんどん消えていくこういう喫茶店が愛おしい。この店もご夫婦で50年近く続けているという。

 「なんでこういう魅力的な喫茶店がなくなってしまうのかな?」とつぶやくと、「古くなった設備を入れ替えたりしないといけないから難しいんだよ。それなら全部を改装してしまったほうが経済的なんだ」と友人が寂しい事実を教えてくれた。



「フォンテーヌ」のメニュー。

魅力的なメニューの数々に悩む私。
ココアフロートをいただきました。後ろの写真はキャンディーズ!