文/光瀬憲子

 

 台湾人は1日3度の食事をすべて外食で済ませることも多く、コロナ以前の外食率は8割を越えるほどだった。そんな台湾の外食業界を陰で支えたのが、屋台や食堂のビニール袋(厳密にはポリ袋)だ。なかでもピンクの太いラインが入った透明の手提げ式ビニール袋は、台湾屋台のアイコンとも言える。

朝市で見かけたピンクのストライプのビニール袋。大きて重い植木鉢が運べるくらい丈夫

■幸せを包むタフなやつ

 初めて台湾を訪れた1990年代、大勢の日本人観光客がそうであったように、私も台湾夜市の熱気や摩訶不思議な食べ物の虜になった。ミニトマトを串刺しにした飴や腸詰など、食べ歩きに適したメニューはもちろん、小籠包やスープといった料理まで、なんでもテイクアウトができることにも驚いた。

熱々のスープもビニール袋に入れてテイクアウト
口を縛るのは輪ゴムではなくビニール紐

 スープやあんかけのような熱い汁物も、台湾屋台ではすべてビニール袋に入れて、ビニールの紐でキュッと口を縛る。ビニールの中の汁物は、目的地に無事に運ばれる。当時、台湾人の友人に「台湾プラスチックのビニール袋はすごいでしょう」とよく言われた。台湾プラスチックとは戦前に創業したプラスチックメーカーで、日本で言うならトヨタや東芝のような大企業。もちろん、世界進出を果たし、創業者の王永慶氏は蒋介石や李登輝と並ぶ有名人だ。

台湾の飲食店で必ず見かけるピンク色のビニール手提げ(写真中央)
朝市で買った野菜をめいっぱい積んでバイクを走らせる女性