気心の知れた仲間とでかける旅行は最高に楽しい。反対に、同じ場所であっても出張だと仕事が気になってむしろ苦痛に感じることもあるだろう。一人であれば、まだいい。出張先で地元のグルメを楽しんだり、移動中の車窓を楽しんだりと、一息つけるシチュエーションを作り出すこともできるだろう。出張時の密かな楽しみとしてオススメなのは日本全国にある駅弁だ。最近はスーパーマーケットの催事などでも人気だが、実際に現地で食べるとまた格別である。掛け紙やパッケージも個性豊かで選ぶ楽しみもある。「駅弁にまずいものなし」と言われるように、駅弁の製造元には百年以上続く老舗も珍しくないのだ。

 

 もちろん、ストレスを感じるのは出張だけとは限らない。取引先の重役と接待ゴルフに行くこともあるかもしれない。ましてや一緒に旅行に行くことにでもなれば終始気を使っていなければならず、楽しむどころではないだろう。想像しただけでもストレスでお腹が痛くなりそうだ。プライベートの旅行中であっても、見知らぬ土地での緊張やストレスから腹痛や下痢、便秘といった症状に見舞われる人も多いのではないだろうか。

 ゴールデンウィークが過ぎたこの季節は、新入社員や人事異動など環境変化のあった人が、新しい環境への適応がうまくいかず、なんとなく体調が悪い、やる気が出ないなど心身に不調が現れることもある。「五月病」という言葉もあるが、特に転職や転勤など大きな変化があった場合は、新しい環境にうまく適応できない人もいるだろう。女性の心と体の問題をクローズアップしているWEBメディア『健タメ!』に、気になる記事があったので紹介しよう。同業他社へ転職した女性の体験談だ。

 

『真也子さん(39歳)は同業他社への転職を成功させた。でも、新しい会社には入社前に想像もしていなかったストレスがあった。
 素朴な雰囲気の人が多かった以前の会社とは異なり、新しい会社にはキリっとしたオシャレな人が多い。外から見ている分には素敵に思えたのだが、いざ一緒に働いてみると謎の緊張感に襲われるのだ。
 会議などの緊張するシーンになると、ストレスのせいか激しい腹痛に襲われるようになってしまった。
 あるとき重要なクライアントの会社に上司と一緒に向かう途中のこと。左下腹部のあたりが急にシクシクと痛み出して、激しい便意が……。
 私の異変に気づいた上司が気をきかせたのか、「リラックス、リラックス!」といって背中をポンと叩いた瞬間、危うく漏らしそうになった。幸い事なきを得たが、先方の会社に着く頃には汗で背中がびっしょりとぬれていた。
 こんな調子ではいつか大惨事になりかねない。ストレスフルな環境で、不快なお腹の症状を抑えるにはどうしたらいい?』

『健タメ!』より)

 オシャレな会社で働くのもなかなか大変そうだ。知っていて当然といった感じで横文字の専門用語やアルファベットの略語などを連発され、聞くに聞けない状況に陥るなんて話も聞く。転職したばかりの「真也子さん」がすぐにまた職場を変えるのは難しいだろう。何とかして症状を改善できないだろうか。

 そこで当サイトは『健タメ!』の編集部にお願いし、真也子さんの症状を分析すべく医師である桐田泰江先生にお話を聞いた。

 

「緊張やストレスによる腹痛や下痢、便秘といったお腹の症状は、自分ではなかなかコントロールすることが出来ず、悩んでいる人も多いと思います。
 まず取り組みたいのは、ストレスに負けない腸内環境づくりです。腸内環境が崩れていると、お腹の不快な症状が出やすくなります。油っぽいもの、甘いもの、アルコールなどの嗜好品の摂り過ぎは腸内の悪玉菌を増やし、善玉菌を減らしてしまうので注意しましょう。
 ストレスで乱れた自律神経を整えるにはアロマテラピーもオススメです。カモミールローマン、ローズマリー、ゼラニウム、レモン、スイートマジョラム、ブラックペッパー、ジンジャー、ペパーミントの香りには自律神経やホルモンバランスを整える働きがあります。緊張する場面でハンカチに1~2滴垂らして側に置いておくとよいでしょう」

 

 なるほど、アロマテラピーに使う精油なら手軽に持ち運ぶことができ、いざという場面で役立ちそうだ。職場にアロマのオイルを常備しておけば、ストレスを感じた時にすぐに使うことができるだろう。AEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)の定義によると、アロマテラピーとは、「植物から抽出した香り成分である「精油(エッセンシャルオイル)」を使って、美と健康に役立てていく自然療法のこと」で、人間の自然治癒力を高め、疲れた心身を癒してくれるとされている。

 

 

 最近では日本各地でも、地元の産物を用いて生産した精油も見られるようになってきているから、産地が気になる人は国産のオイルを選ぶのもいいかもしれない。ただ、香りの効き目は穏やかなものだろう。『健タメ!』の記事に出てくる真也子さんの場合、かなり辛い腹痛に悩まされている。ほかに根本的な解決策はないのだろうか?

 「根本的な改善を目的とするのであれば漢方薬の服用もオススメです。緊張感や不安感が強い方には四逆散(シギャクサン)がよいでしょう。自律神経の過緊張状態を緩和して腹痛や下痢症状を改善してくれます。お腹を温めて症状を和らげる桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)なども良いと思いますよ」(桐田泰江先生)

 

 真也子さんがストレスを緩和して、急な腹痛でヒヤリとしなくて済む日は来るのだろうか。新しい環境でもストレスを感じることなく過ごせるようになればよいのだが、桐田先生のお話にあるように緊張感や不安感が人より強いという場合はそう簡単なことではない。ストレスによる腹痛や下痢の症状がある方は、一度漢方医に相談してみるのがオススメだ。漢方もアロマテラピー同様に自然由来の植物療法だが、漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということ。うまく合っていないと、場合によっては副作用が生じることもある。どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめだ。どうやったら漢方医にアプローチできるのか分からないという人は、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいだろう。

 ちなみに「アロマテラピー」という言葉は、フランス語で「アロマ(芳香)」と「テラピー(療法)」を組み合わせた造語だ。1928年にフランスの調香師であり化学者のルネ=モーリス・ガットフォセによって名付けられたとされるが、古の時代から人々は、ごく身近にあった植物を薬草として食べたり、塗ったり、香りを嗅いだりして、傷や病気を治すために利用してきた。日本でも古くから芳香植物は「香薬」とも呼ばれ、薬の原料としての役割を担っていた。そして「漢方」という言葉が定着したのは、江戸時代後期のあたりとされ、明治以降は西洋医学に対して、中国医学を土台にした伝統的な日本の医学を「漢方」と呼ぶようになったといわれている。 


取材&記事:TABILISTA編集部/
「健タメ!」 
https://www.kamposupport.com/kentame/archives/8476