文/チョン・ウンスク

 

 先日の第58回「百想芸術大賞」映画部門で、『モガディシュ 脱出までの14日間』が大賞、作品賞、撮影技術賞を受賞した。

 この映画は韓国映画独自のジャンルである南北分断もののひとつで、そのなかでも南側と北側の呉越同舟が物語の核だった。

 南北の呉越同舟を描いた映画は過去にもいくつかあり、いずれも何かをきっかけに両者の距離が縮まり、やがて心を通わせ合うシーンが大きな見せ場となっていた。

 

■『トンマッコルへようこそ』/イノシシ肉

 まず思い出すのは、2005年の映画『トンマッコルへようこそ』。朝鮮戦争が起きていることすら知らない純朴な人々が住む山村で南北の兵士が出くわした。彼らは争わないことを条件に村で暮らすことを許されるが、相手は仇敵。常に緊張を強いられる。

 ある夜、北側兵士(チョン・ジェヨン、リュ・ドックァンなど)が外でイノシシの肉を焼
いて食べているところに、南側の兵士(シン・ハギュンなど)が通りかかる。

「おまえたちも食べろ」と北側の兵士(イム・ハリョン)が促すが、躊躇する南側兵士。しかし、この村に来て以来芋ばかり食べている若い兵士(ソ・ジェギョン)ががまんできず肉にくらいついた。焚火を囲んで、南北の兵士が初めて笑い合った瞬間だった。