文/光瀬憲子

 

 ここ数年、日本でタクシーを利用する頻度が少し増えた。料金が見直されて初乗りが400円程度からと安くなったことに加え、アプリがとても便利だからだ。GOやS.RIDEといったタクシーアプリは車を呼ぶのも簡単だし、会計も自動なので降りるときにお財布を取り出したり、領収書を受け取ったりする手間もない。

 台湾を頻繁に訪れていた頃は、日本よりも台湾のタクシーに乗り慣れていた。もしかしたら訪台できなかったこの2年のあいだにデジタル化が進んでいるかもしれないが、私の知る限り台湾タクシーはとてもアナログ。ドアさえ自動ではなく、乗り降りするときに客が自分で開け閉めする。

ソウルを取材したときに感じたことだが、韓国のタクシーは路地や住宅街に入ることを嫌う運転手さんが多かった印象だが、台湾では目的地の建物の前まで行ってくれる

■運転手さんのお宅におじゃましている気分

 台湾のタクシーに乗り込むと、独特の匂いがすることがある。それは芳香剤の匂いだったり、お香の匂いだったり、タクシーによってさまざまだが、なんとなく運転手さんのお宅におじゃましているような気分になる。フロントガラス周辺に家族写真や仏像が置いてあったりするからかもしれない。運転席はもちろん、後部座席にもジャリジャリした座席シートが敷いてあったりして、車内のカスタマイズぶりに運転手さんの趣味が表れている。それに比べると日本のタクシーはちょっと無機質でそっけない。

台湾のタクシーは黄色がほとんど。車種はさまざまだが、燃費がよく狭い道でも小回りがきく小型の日本車が人気
昔は古くて凹みの目立つ車両もよく見かけたが、最近は小ぎれいな車両が多く、乗るほうも安心