狭山茶専門店「備前屋」の自前の茶園を目指し、私たちの車は進む。広い県道から茶園に向かう道に入る。曲がるたびに道幅が狭くなっていく。車がギリギリ通れる道の終点に茶園はあった。車を降りると緑の中にウグイスの声だけが聞こえる。私たちの他には誰もいない。車の音すら聞こえない。
街中にひっそりたたずむ茶園を訪問
狭山は東京近郊ということもあり、住宅地の中にある茶園も多い。一方、備前屋の茶園は住宅地から離れた人気のない別天地だ。茶園の北側には雑木林があり、太陽に導かれて折れ曲がった枝が、茶園の上に天然の屋根をつくっている。



茶園に到着してしばらくすると、日差しがどんどん強くなり、真夏のような暑さになった。雑木林の屋根の日陰に逃げ込むと、涼やかな空間にウグイスの声が心地よく響いた。時にはキジの声がすることもあるらしい。キツネが出てくることもあるらしい。備前屋の茶園は、都内から約50キロとは思えないほどの自然の中にある。