文/チョン・ウンスク

 

 映画に登場するマッコリで思い出すのは、古くは『鯨とり コレサニャン』(1988年)、新しくは『ワンドゥギ』(2011年)だ。

 前者は冴えない大学生(キム・スチョル)が田舎の市場でマッコリにありつき、美味しそうに飲むシーン。後者は貧しいが正義感の強い高校教師(キム・ユンソク)が下町のシュポ(酒が飲める食料雑貨店)で、障がいをもつ大道芸人(パク・スヨン)や売れない小説家(パク・ヒョジュ)と静かにマッコリを飲むシーンだった。

ソウルのEマートに並んでいる生マッコリの数々(2022年2月撮影)
ソウル、いや韓国を代表する銘柄、長壽マッコリ

 マッコリはもともと農酒とか労働酒などと呼ばれた土の匂いのする酒なので、上のような状況が似つかわしいのだが、先日、久しぶりに、『女優たち』(2009年)という映画を観てハッとした。

 この映画はVOGUE誌の撮影でスタジオに集合した6人の大物女優(ユン・ヨジョン、イ・ミスク、コ・ヒョンジョン、チェ・ジウ、キム・ミニ、キム・オクピン)の撮影の合間のおしゃべりやいさかいを延々と撮り続けたもので、要所とエンディングだけセリフが決まっていて、あとはアドリブとしか思えない怪作である。

 女優どうしの親密度に差があるため、当初6人はギスギスしていたのだが、撮影の待ち時間にシャンパンを飲み始めた頃から和やかムードに。そこで出た話題がマッコリだ。

「マッコリがダイエットにいいのよ」

 当時50代のイ・ミスクが言うと、さすが美意識の高い女優たち。いっせいにこの話題に食いついてきたシーンが印象的だった。

マッコリブームが起きた2009年に韓国で公開された映画『女優たち』。前半のハイライトはコ・ヒョンジョンとチェ・ジウのつかみ合いのケンカ。日本映画『ゴジラvsキングギドラ』さながらの迫力だった。監督は、イ・ジョンジェ主演の『情事 an affair』や『純愛譜-じゅんあいふ-』、ペ・ヨンジュン主演の『スキャンダル』、ユン・ヨジョン主演の『バッカス・レディ』など、話題作を撮っているイ・ジェヨン