文/光瀬憲子

 

 日本各地で飲食店の営業規制が緩和され、数人で集まってお酒を飲む機会が増えてきた。ぐんと気温が上がった日、友人と都内某所の居酒屋に入ると、外の席に案内された。感染防止対策として座席の間に透明の仕切りを置く店もまだ多いが、天気がいい日は外で飲食をさせる店も増えたように思う。扉を開放して路地にせり出すようにテーブルと椅子を並べた席に座って、ちょっとそわそわした。なんだろうこの感じ……。そうだ、台湾でおなじみのスタイルじゃないか。

日曜の昼下がり。台北の慈聖宮前では路上で食事したりビールを飲んだりする人であふれる

■開け放たれた店

 台湾で食べ歩きをするときは、安くて地元民に愛されている店を選んでいるので、たいていは扉がなく、テーブルとプラスチックの椅子を並べただけの店に入ることが多い。これだと客が何を食べているかもすぐわかるし、ときには厨房の様子も見えるので、どんな食事が出てくるのか把握できる。行き当たりばったりでも美味しい店に出合えるのは、台湾飲食店ならではの開放性があるからだ。

 特に気温が高くなるこれからの季節は、そんな店が恋しくなる。屋台よりもちょっとのんびりできて、お酒を飲みながら長居もできる。通りを歩いて来たら、すっとテーブルに座ってメニューを確認できる。

 台湾では屋台はもちろん、個人経営の店もスペースが限られているので、自然と扉を取っ払って歩道にまでテーブルを並べるようになったのかもしれない。冬でも気温があまり下がらないので、通年ビアガーデン方式でいけるのだ。

 台湾の飲食店のほとんどが先払いまたは食事が運ばれてきたと同時に支払いをするスタイルなのも、開放型店舗の特徴だろう。食べ終わったときはもう会計が済んでいるので、サッと引き上げることができる。

通りに椅子を並べた台南の食堂。深夜近くに学生たちが集まっている。店舗は狭いので厨房のみ。客はみな通りのテーブルで食べている
朝と昼で違う店が出ている台南某所。昼間の店のシャッターが下りた後、その前にテーブルとプラスチック椅子を並べて臭豆腐を商っている