Djerba Groove Project(ジェルバ・グルーヴ・プロジェクト)

 午前1時過ぎ、フと目を覚ます。いかん、今まで寝落ちしていたらしい。ナイト・ストロールは既に始まっている。急がねば! 来た道を歩いてダビデの塔に戻ると、メインステージではなく高い外壁の上や裏庭、地下室などの五ヶ所で同時にライヴが進行していた。

 簡単なタイムテーブルはもらっていたが、出演する十三組は僕が知らないアーティストばかりだったので、行き当たりばったりに歩いて回ることにした。すると、地下室ではジャズやポストロック系、外壁の上では小編成のアコースティック系やアヴァンギャルド系、クラシック系のアーティストが目立った。

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深夜のダビデの塔

mekudeshet3ダビデの塔の敷地内では五ヶ所同時にライヴが進行していた

 会場を文字通りストロール(さまよって)していると、メインステージの左奥にある裏庭のほうから耳に親しんだメロディーが聞こえてきた。1990年代末にアルジェリア人ロックンローラー、ラシッド・タハが歌い、世界中で大ヒットしたアルジェリアの歌謡曲「シャアビ」の曲「Ya Rayeh」だ。メインステージ脇を迂回しながら裏庭に近づくうちに、曲はやはり90年代のアルジェリアの歌謡曲「ライ」のヒット曲「Abdelkader」へと変わった。これもうれしい選曲だ! 

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裏庭のステージからはアラブの90'sヒット曲が聞こえてきた

 彼らは「Djerba Groove Project(ジェルバ・グルーヴ・プロジェクト)」という新人バンドだった。「ジェルバ」とはチュニジアの地中海に浮かぶ島の名前で、チュニジア随一のリゾート地。ジェルバ島では中世からユダヤ教徒とイスラーム教徒が平和に共存していたが、その平和は第二次世界大戦直後のイスラエルの建国と、それに続いた中東戦争でのアラブ連合の敗北によって破られ、多くのユダヤ教徒は土地を追われ、イスラエルへと移住した。

 ジェルバ・グルーヴ・プロジェクトはヴァイオリン、サックス、キーボード、ドラムス、エレキベース、パーカッション、カヌーン(中東の琴)、そしてヴォーカルの8人組。いかにもチュニジア系らしい、ガタイのいいヴォーカリストは頭にユダヤ教徒の印であるキッバをのせ、肩にはパレスチナやアラブの印であるカフィーヤ(白黒の市松模様のスカーフ)をかけていた。客席に原理主義者やテロリストがいたら「ふざけるな!」と爆弾をしかけられてもおかしくはない。自分はイスラエル人だが、自分のルーツであるアラブ~チュニジア~アルジェリアの音楽を愛する気持ちは本物だと示しているのだろう。

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アラブ有名曲のディスコ・カヴァー・バンド、ジェルバ・グルーヴ・プロジェクト