文と写真・サラーム海上

 

テルアビブのアジア料理レストラン『Taizu』 

 エルサレムの音楽フェス「メクデシェット」で撮影した写真をSNSに投稿すると、テルアビブの人気シェフのユヴァル・ベン・ネリアからメッセージが届いた。

 「イスラエルに来てるなら、僕のレストラン2軒に顔を出さずに帰るなよ。テルアビブのグルメ・ツアーにも連れていくから時間を空けておけよ」

 はいはい、喜んで行きますとも! ユヴァルの料理のためなら、いつでもどこへでも! 

 ユヴァルは多くのイスラエル人同様に三年間の兵役の後、世界中を旅して回った。そして、東南アジアインドの料理に出会い、イスラエルに戻って料理人となった。現在は三軒のレストランを経営し、テレビの料理番組にも登場するなど、有名シェフとなっているが、今も料理のリサーチのため頻繁にアジア諸国を訪れ、研鑽を続けている。

 彼のインディアン・フュージョン料理については連載24回 に書き記した。僕は2016年11月下旬、テルアビブ南部にある彼のアジア料理レストラン『Taizu』の「インド料理ナイト」を訪れ、インド人にはとても考えつかないような、イスラエル人ならではの斬新なインディアン・フュージョンのフルコースを満喫したのだ。それから10ヶ月後、再びユヴァルの料理を食べられるとはなんてラッキー! 前回一緒に行ったダンに言ったら、今回もついてくるに決まってる!

 
 2017年9月16日午前11時、僕はメクデシェットの取材を終え、5日間滞在したエルサレムのホテルをチェックアウトし、乗り合いタクシーのシェルートに乗って、テルアビブに戻った。正午過ぎには再びダンとヤルデンのアパートに到着し、荷物を下ろした。そして、午後はダンが経営するカフェ『Casino San Remo』で友人に再会し、夕暮れまでヤッフォのビーチで波の音を聞いて過ごした。夜8時半、仕事を終えたダンと一緒に『Taizu』へと向かった。

tabilistayuval1
エルサレムから5日ぶりにテルアビブのヤッフォに帰還。ビーチから徒歩五分、ダンの店『Casino San Remo』
tabilistayuval1
日本盤アルバムもリリースしているエチオピア系イスラエル人の歌手ギリ・ヤロがフラッと顔を出した
tabilistayuval1
ヤッフォのビーチは平日の午後にもかかわらず、人がいっぱい

tabilistayuval1ダンのアパートから見たテルアビブの夕暮れ。まだ夏の空気が残っている

 高層オフィスビルの一階にある、天井の高いお店に足を踏み入れる。ウェイターに「ユヴァルの友人です」と告げると、前回と同じ、店内一番奥のバーカウンター席に案内された。バーテンダーにウイスキーのショットを用意されたので、駆けつけ一杯をクイっと飲み干していると、白いTシャツ姿のユヴァルが厨房から現れ、隣の席にチョコンと腰掛けた。

 「今日は時間に余裕あるよね? 前回は日曜限定のインド料理だったから、今回はお店のグランドメニューを食べてもらうよ。その後は、ここから徒歩15分の場所に今年新しく開いたばかりの日本料理店『Yapan』に案内するよ。だから、くれぐれもここでお腹一杯にしないでくれよ」

 一晩で二軒のフルコース? まあ、こうなることはなんとなく予想していたので、昼食を抜いてきて本当に良かった!

tabilistayuval1
人気シェフ、ユヴァル・ベン・ネリアのアジア料理レストラン『Taizu』

 

tabilistayuval1
左がユヴァル、右は案の定付いてきたダン。僕の友人の中でも最強の食いしん坊2人だ