まずはアミューズから。「ラブネ」と呼ばれるフレッシュチーズを直径3cmのボール状に丸め、周りに飛び子と黒ゴマをまぶし、それをカリカリに揚げた米粉の生地でクルッと包んである。専用の木製の台に載っていて、極小のアイスクリーム・コーンのように見えるが、一口でパクりと口に入れると、味は当然甘くはない。

 飛び子はナンプラーやライムで味付けられ、東南アジアの味だ。しかし、ラブネは東南アジアには存在しない中東の食材だ。こうした奇抜なミクスチャーはユヴァルの専売特許と言っていい。クリーミーなラブネとカリカリの生地、そしてプリプリの飛び子やゴマの食感の違いも楽しめる!

 

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アミューズ。ラブネのボールに飛び子と黒ゴマをまぶし、カリカリに揚げた米粉の生地でクルッと包んだもの

 英語のメニューを見せてもらうと、料理は「水、木、火、地、金」とカテゴライズされ、軽く繊細なものから、重く豪華なものの順番に並び、餃子や団子、春巻き、バンズ、タンドールなど、中華、タイベトナム、インドの料理名も目立つ。

 最初の「水」のカテゴリーからは海老の蒸し餃子とマグロの刺身、そしてセビッチェが運ばれてきた。海老の蒸し餃子は半透明の皮の中に薄いピンク色の海老が透けて見える。口に入れるとプリプリの海老の身を何かの野菜がシャキシャキッと支えている。これは菊芋だな。さらにフェンネルが海老の甘みを強調している。菊芋は英語で「エルサレム・アーティチョーク」と言う。アメリカ原産の野菜がなぜ「エルサレム」と名付けられているのか理由は不明だが、イスラエルではよく目にする食材だ。

 セビッチェは中南米の太平洋岸の料理だが、近年ではヘルシーな料理として、世界中で人気が高い。新鮮な生の白身魚をぶつ切りにして、レモンやライムを絞り、みじん切りの玉ねぎやトマトと和えるのが普通の作り方だが、ユヴァルは得意のタイ料理をミックスしていた。なんと出来上がったセビッチェを冷たく冷やしたタイのレッドカレーのソースに沈めているのだ。そして、マイクロリーフ、煎った米、揚げ玉、スライスした赤かぶとキュウリ、唐辛子オイルで飾り付けられている。これは美味そう!

 スプーンですくっていただくと、レッドカレーは当然、辛く、酸っぱく、甘く、塩っぱい。その上、タイ料理に欠かせない生姜に似たスパイス、ガランガルがたっぷり効いている! 淡白なスズキの身によく合うし、揚げ玉や生野菜との食感の違いも楽しめる。これは中東料理ではなく、中南米と東南アジアのフュージョン料理だが、日本に戻ったら早速真似して作ってみよう。
「スプーンでソースごと食べて欲しいんだ。一口ごとに異なる食感が楽しめるだろう。このカレーソースはお店で毎日作っているんだ」