三番目のカテゴリー「火」からは三品。エルサレム・ミックス・サンド、ムール貝のチリソース、マグロのバンズが届いた。

 蒸籠に入った小さな小さなエルサレム・ミックス・サンド。連載22回でレシピを取り上げているが、鶏肉とレバーとハツを鉄板で焼き、スパイシーに味付けたものをサラダとともにピタパンに詰め込んだイスラエルの誇るB級グルメである。ここではそのアジア版。小さなピタパンの中身は乳飲み仔牛のレバーを薄切りにして唐辛子、ナンプラー、ライムなどともに炒めたもの、刻んだエシャロット、香菜、ミントが付け合せだ。東南アジアの味がイスラエル料理の姿で表現されている。

 

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「火」のカテゴリーから乳飲み仔牛のレバー焼きを詰め込んだエルサレム・ミックス・サンド

 ムール貝のチリソースは、シンガポール名物のチリ・クラブの蟹をムール貝に置き換えたもの。バターでカリカリに揚げたバゲットが柔らかいムール貝と良いコントラストだ。

 

 

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ムール貝のチリソース。シンガポール名物のチリ・クラブをそのままムール貝に

 そしてマグロのバンズはチュニジアの揚げパンのサンドイッチ「フリカッセ」が元ネタだ。本来はツナと茹でたジャガイモ、オリーブ、ハリッサが具材だが、ユヴァルはマグロのスキ身、サンバルソースで味付けた茹でたかぼちゃ、揚げ卵、そしてモロッコの塩レモンに置き換えている。これもチュニジアと東南アジアを行き来するような味だ! すばらしい! 

 

 しかし、11品も続くと、さすがに腹が一杯になってきた。この後、もう一軒行くなら、ここらで打ち止めにしないと……と思っていると、最後の一品、12品目はメニューにない料理が運ばれてきた。中に牡蠣を入れてタンドールで焼いた一口サイズのナン。牡蠣の磯の香りがたまらない! 手で持って一口かじると、濃密な牡蠣のミルクがブチューっと口の中に飛び込んでくる?! 味付けはインドのガラムマサラと地中海のアイオリだ。これも美味い! 1個でなく、2個、3個と食べたい!

 

 

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締めは牡蠣を入れてタンドールで焼いた一口サイズのナン。メニューにはのってない!

tabilistayuval1ナンを噛み切ると、牡蠣のミルクがブチューっと!

 「イスラエル人は手で持って食べる料理が大好きなんだ。エルサレム・ミックス・サンドやファラフェル・サンドは両手で持って、背中を丸めて食べるのさ。でも、西洋のハンバーガーだとなぜか背筋を真っ直ぐ伸して食べるんだ。おかしいだろ? 僕のお店はファインダイニングだけど、背中を丸めて食べて欲しいね。さて、そろそろ『Yapan』に向かおうか。あちらでもたくさんの料理が待ってるよ。腹ごなしに少し歩こうか」

 いやはや、テルアビブに戻ったその日から美食天国、というか美食地獄! 連れのダンはデブだから大丈夫だろうけど、この後どうなっちゃうんだオレ?

 

 

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『Taizu』のカウンターバー席。ショットの飲み過ぎに注意!