文・光瀬憲子

「1泊2日で初めて台湾に行くんだけど、絶対に行くべきエリアはどこ?」

 友人からそう聞かれて私が答えたのは大稲埕(ダーダオチェン)エリア・迪化街(ディホァジエ)だ。迪化街はすでに台湾リピーターのあいだでおなじみの乾物街。迪化街というのは1本の長い通りの名前で、この迪化街を含む南京西路以北、重慶北路以西のエリアをざっくりと大稲埕と呼ぶ。

 前回紹介した艋舺(萬華)は、淡水河をへだてて板橋(バンチャオ)という台北郊外の街と橋でつながっていたが、この大稲埕はそれよりも北側にあり、淡水河の向こうは三重(サンチョン)という街だ。三重と台北市内とをつなぐ台北橋や大稲埕港があることで知られ、艋舺と並んでかつては大いに栄えた。その最たる証が一大観光名所の迪化街というわけだ。

 

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西台北と三重・板橋を隔てる淡水河には何本もの橋がかかっている。60~70年代に栄えた西台北に憧れをいだき、みなこの橋を渡った。写真はこの辺りを舞台にした映画『台北暮色』の一場面。 写真提供:A PEOPLE CINEMA http://apeople.world/taipeiboshoku/

これまでの迪化街 

 迪化街は南京西路から民権西路まで続く一本道で、そのなかでも南京西路から北へ向かうエリアには日本時代のバロック式建築や清朝の閩南式建築が数多く残されている。

 老舗の食堂や乾物店、漢方薬局などがずらりと立ち並び、1軒1軒を物色しながら歩くだけでとても楽しい。初めて台湾を訪れるなら絶対に体験してほしい、日本と台湾の歴史を感じさせてくれる風景だ。

 

 

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迪化街にはレンガ造りの古い建物が多く、漢方薬局や乾物店が軒を連ねている

 

 また、日本では高価なからすみや干ししいたけといった食材が手に入りやすいので、お土産ショッピングも楽しい。

 迪化街がもっとも賑わうのは旧正月前の一週間。年越しに必要な菓子や乾物、帰省時の土産物などを買うために台北近郊から大勢の買い物客が押し寄せて、まるでお祭りのような騒ぎになる。

 ふだんの迪化街なら、早朝は永楽市場付近の食堂に足を運んでみてほしい。地元の人が愛してやまないビーフンスープなどは朝限定だ。永楽市場では生鮮野菜や肉類などが売られて、台湾の日常を垣間見ることができる。11時頃になると乾物店や土産店がオープンして旅行者も増え、さらににぎわいを増す。

 

 

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大稲埕の迪化街はリノベーションブーム。古い建物がおしゃれな雑貨店やカフェに

04台湾のカフェ人口はうなぎのぼり。伝統的な迪化街にもカフェを楽しむ若者が集う