文/下川裕治 写真/中田浩資

 

 宮古島に渡ることにした。沖縄離島路線バスを乗り尽くす旅をつづけていた。コロナ禍が本格化する前に、宮古島やその周辺の離島を走る路線バスは一応、乗り切っていた。しかしその後、宮古島のバス路線が大きく変わってしまった。新しいターミナルができたのだ。路線バスを乗り尽くすという旗を揚げてしまった以上、行くしかなかった。

■新路線と幻の路線のバスに乗車するために、再び宮古島へ

 宮古島周辺では、宮古島と下地島に空港があった。那覇から下地島の空港に向かうスカイマークに乗った。運賃が安かったこともあったが、下地島に隣接した伊良部島に、乗ることができなかった幻路線があったのだ。

 伊良部高校入口から伊良部高校前までの短い盲腸区間だった。宮古島から伊良部島の佐和田車庫に向かうバスに乗った。このバスが伊良部高校前まで行くはずだった。ところが運転手は、「高校生が乗っていなかったら、伊良部高校前までは行かないよー」というのだった。案の定、僕らが乗ったバスは伊良部高校前には行かなかった。どうしたらこの区間を乗りつぶせる? 高校に寄るバスは朝の1便しかない。毎朝、高校生が乗り込むことを願ってバスに乗る? この区間は未乗車のまま伊良部島を離れるしかなかった。

 わかっていたことだったが、2021年、伊良部高校は廃校になってしまった。コロナ禍のなかだった。幻路線は幻のまま終わってしまった。

「バスは走っていないが、その区間を確認したい」

 下地島の空港への路線を選んだ理由だった。そのあたりは動画で紹介している。リベンジにもならないバス路線歩きを観てほしい。

 伊良部高校入口から伊良部高校までの100メートル動画。こんなに短い路線だったと改めて実感

下地島の空港。南国の空港のイメージを全面に出した設計が好評