文/下川裕治 写真/中田浩資

 

 沖縄の梅雨は、本土より1ヵ月ほど早い。5月初旬から雨がつづく。沖縄の人の感覚では、ゴールデンウイークが境になる。連休が終わると梅雨に入る……と。

 そして6月に入ると苦しいほどの晴天に包まれる。沖縄通が沖縄に行くのはこの時期だ。天候が安定し、観光客はまだ多くない。

 沖縄のビーチはゴールデンウイークでにぎわう。もう十分に暑いから、ダイビングスクールも定員一杯になる。民宿は書き入れどきとばかりにフル回転。

 そして、つややかな月桃の葉に雨粒が跳ねると、沖縄のビーチ関係者はほっとする。梅雨がはじまるからだ。夏のシーズンまでひと休み……。

 宮古島と来間島を結ぶ来間大橋を歩いて渡り、来間島に行こうとしたのは、そのゴールデンウイークだった。その様子をツイキャスというサービスでライブ配信することになった。そのタイトルは、「晴れた日は沖縄の来間大橋を渡ろう」。例年の天候では、宮古島はまだ梅雨入りしないはずだった。

 しかし雨だった。

 前日、伊良部島を訪ねていたが、そのとき乗ったタクシーの運転手さんからこういわれた。

「今日から梅雨入りですよ」

「今日からですか……」

 篠突く雨だった。僕は来間大橋のたもとで迷っていた。この雨のなか、橋を渡る? しかしツイキャスは有料のライブだった。数こそ多くないが、すでに視聴料を払っている人がいる。やはり橋は渡らなければ……。しかし雨なのだ。配信内容は、「雨の日は沖縄の来間大橋を渡ろう」になってしまう。