文・写真/サラーム海上

 

 2022年6月11日午前9時過ぎ、雨がポツポツと降るイスタンブル旧市街エミニョニュ地区エジプシャン・バザール。僕はザ・ハーブスメンのメンバー、水野仁輔さんと一緒に日本の某テレビ局の撮影クルーを待っていた。

 水野さんは前夜にパリからイスタンブルに到着していた。そして残り二人のザ・ハーブスメン、シャンカールノグチさん、栗田貴士さんはこの日の午後にイスタンブルに到着する予定である。

ガラタ塔のアパートホテルから坂を下り、ガラタ橋を渡って旧市街へと歩いて向かう。暇なオヤジたちは相変わらず釣り糸を垂らしている
ガラタ橋を渡ったエミニョニュ埠頭から地下道を通ってエジプシャン・バザール正面口に出た。夏のイスタンブルには珍しく雨天

エジプシャン・バザール

 ほどなくしてエジプシャン・バザールの正面入口にカメラマンのTさん、音声のAさん、現地コーディネーター兼通訳のEさんが現れた。この日の撮影はエジプシャン・バザール内のスパイス店、そして旧市街シルケジ駅近くの老舗ケバブ店の二箇所だ。

 まずはエジプシャン・バザール内のスパイス店から。僕はこれまでこの市場内のスパイス店で買い物をしたことはほとんどなかった。というのも、場内は常に外国人観光客でごった返していて、しかもオールドスクールな客引きが次々と現れ、下品な日本語で話しかけてくるからだ。さらに地元向けの店よりもはるかに値段が高い。スパイスやハーブを買うなら、地元向けの地味な外観の店に行くほうが良い。

 要するにここは観光地なのだ。しかし、トルコ初訪問の水野さんには、二千年近い歴史を持つ街イスタンブルを代表するきらびやかな市場であり、遠くシルクロードの果てから様々なスパイスが集まるエジプシャン・バザールを一度は見てもらいたかった。イスタンブルでエジプシャン・バザールを見ないのは、インドのデリーでパハール・ガンジ・メイン・バザールを訪れないのと同じことだろう。それにテレビの撮影にはこの市場が持つきらびやかな雰囲気が必要だろう……。

 メイン通りに数多く並ぶキラキラしたスパイス店のうち、番組クルーが事前に話を通しておいたお店に入った。

エジプシャン・バザールのメイン通り。スパイス店や金細工店が目立つ。中には日本語の垂れ幕まで!
スパイス店『Turkiana』に入る