文と写真/タカヤマコジロー

 

なにしろラーメンが好きなもので。
わざわざ飛行機に乗って、熊本にラーメンを食べに行ってきました。

 

 

後編、2日目は熊本市電で移動。市電は熊本駅、熊本城、繁華街を隈なく走り便利である。ホテル近くの「辛島町」から10分ほど「水前寺公園」で下車(170円)。出水ふれあい通りを5分ほど歩き、開店間もない煮干専門店「麺商人」を訪れる。

 

「麺商人」/中央区出水

カウンター、テーブルも満席で運よく1つだけ空いたテーブル席に案内される。
「煮干ラーメンは苦手」という声を聞く。先日、そんな方とある魚介系のラーメン屋に。「焼きあごと瀬戸内のいりこ出汁が最高。」とのことでしたが、一般的に煮干とはイワシ(カタクチイワシ)の乾物。東は「煮干」、西は「いりこ」と呼ぶことが多く同じ食材である。あごも煮干の一種で鯖、鯵、秋刀魚、鯛など様々な煮干があり、多くのラーメン店は動物系(豚・鶏)と、魚介系(節、貝類、昆布とともに煮干)が使われている。

煮干好き(ニボラー)は、より濃厚な煮干の旨味を求める傾向があり、煮干専門店ではあっさりした淡麗よりも、こってり濃厚、さらにセメントと呼ばれる灰色の超濃厚なドロドロなラーメンが人気だ。
「煮干ラーメンは苦手」というのは、苦味と酸味が強い全面に煮干を押し出した濃厚な煮干ラーメンが、好みにあわなかったのだろう。

僕はやや濃厚が好み。東は東京板橋の「中華そば 伊吹」、西は京都「煮干しそば 藍」、北は青森「中華そば ひらこ屋」が印象深い。

さて、話は長くなりましたが、こちらのメニューは「きほん・こいくち・背脂・極濃」の4種。店イチオシの「煮干し中華そば きほん」(800円)を注文する。

 

「麺商人」煮干し中華そば

表面に油気のないきれいな琥珀色のスープ。低温調理された豚チャーシューが真ん中に立体的にトッピングされたシンプルで美しい麺姿だ。

熱々のスープをひと口啜ると煮干の旨味がじわじわと口いっぱいに広がる。使用する煮干は季節によって変わるようで、店内の掲示版によると、平子マイワシ(境港)を主に、片口イワシ(長崎)、アジ、ウルメ、各種焼き干しを使用とのこと。淡麗ながら繊細な旨味が溢れる。

一般的にスープの表面には香味油が加えられている。ネギ油、鶏油、辣油、背脂、ラードなど、ラーメン全体の香りを豊かにし、旨味を増すために店ごとに様々な工夫がされている。煮干ラーメンでは、煮干油が使われることもある。このように油がないのは珍しい。

そのためとてもクリアなスープで、雑味、苦味なくストレートに煮干と熊本産の醤油の甘味、旨味が伝わる。

 

「麺商人」煮干し中華そば

麺にも特徴があり、かん水を使わない特注の無かん水ストレート麺。かんすいを使わないと食感やコシを出すことが難しいのだが、小麦の香りよく、スープとの相性も秀逸な麺。
鹿児島黒豚を長い時間かけて低温調理したチャーシューは安全で、肉感、旨味が素晴らしい。

もちろん、最後の一滴まで完飲完食。次回は「こいくち・極濃」も試してみたい。
天然素材のみの良質な食材、時間をかけて丁寧に作った職人技冴える中華そば。
おいしかったです。ごちそうさま。

 

「麺商人」