文/チョン・ウンスク

 

 ヒッピー。

 古くさい言葉だと思う人が多そうだ。映画『イージー・ライダー』がアメリカで公開されたとき私は2歳の赤ん坊だったし、ヒッピー文化が隆盛だった60年代の日本を私は知らない。それでも、物質文化と距離を置き、感性の解放を求め、やがては人種差別反対運動や反戦運動に発展していったヒッピー文化には憧れがあった。

 我が国で2003年に始まったイベント「LOVE CAMP」は、韓国版ウッドストックと呼ばれるヒッピー気分の祭りだ。コロナの影響で3年間開かれなかったこのイベントが2022年の夏、仁川市江華島で再開された。日本よりひと足早く秋が訪れた8月の末、知人のミュージシャンに誘われて出かけてみた。

右がLOVE CAMPの創立メンバーのひとりである日本人ミュージシャン、「コプチャンチョンゴル」の佐藤行衛さん。左が文化イベントのプランナー、キム・ウジョンさん

■韓国版ウッドストック、LOVE CAMPとは?

 LOVE CAMPは2003年の夏、江原道の洪川を会場に始まった民間主導の参加型音楽会だ。最初はミュージシャン数十人と来場者が一晩中歌い踊ることから始まったが、回を重ねるにつれ多様なミュージシャンと音楽好きが集まるようになった。アメリカのウッドストック·フェスティバルにちなみ、韓国版ウッドストックLOVE CAMPと呼ばれている。ある年は人里離れた山寺、またある年は済州離島で開かれた。

■必要なのはキャンドル1本と花一輪、そして1万ウォン

 金浦都市鉄道の沙隈(サウ)駅で文化イベントのプランナー、キム・ウジョンさんら知人たちと待ち合わせしてクルマで江華島に向かう。秋を感じさせる澄み切った空の下を走り、山道から森に入る。浮世から離れて理想郷に近づいているようだ。

 キャンプ場に到着。リハーサルだろうか、ドラムやベースの音がする。あちこちにテントが張られている。入場料は舞台を飾るキャンドル1本と花一輪。そして、キャンプ場利用料1万ウォンだ。利用料1万ウォンは演者(ミュージシャン)からも平等に徴収される。みんなが一緒に楽しむ場所だからだ。企業や自治体の後援など自由が抑制される可能性のある資本提携はないそうだ。

 キャンプ場の片隅には酒やつまみ、記念グッズを売るブースやテントができている。大資本のテーマパークのような禁止事項はない。持ち込みの肉を焼く者、酒をあおる者、タバコをくゆらす者。思い思いの姿で楽しんでいる。法を犯したり、人に迷惑をかけたりしなければ、すべてが許される空間だ。

演奏は4時から明け方まで続く