文・写真/室橋裕和

 

 荒川区・三河島

 駅の周辺、とくに北側を歩いてみると、在日コリアンの生活の匂いが漂う。韓国の食材店、キムチ屋、ハングルの看板を掲げた庶民的な飲み屋、決して観光客相手ではない普段使いの焼肉屋……駅の南側には朝鮮学校もある。ハングルの会話もときおり聞こえる。

三河島周辺は日本でもとくに古いコリアンタウンといわれる

新大久保は韓流テーマパーク、三河島はコリアンの生活の街

 戦前から、一説によれば1910年の日韓併合の後あたりから、韓国でも済州島の人々が出稼ぎにやってきて、住み着くようになったらしい。その縁を頼って移住してくる人が戦後も多く、いつしか三河島には韓国人が集住するようになった。歴史の古いコリアンタウンと言える。

 僕の住んでいる新大久保もよくコリアンタウンと呼ばれる。確かに戦後に住み着いた韓国人が多いエリアだが、台湾人も東南アジアの人々もいたし、そもそもおもな住民はいまも昔も日本人だ。それがここ20年くらいの間に「日本人客相手に観光開発され」、いわばテーマパークとして発展していったのが新大久保だ。街に密集する韓国のレストランやコスメやアイドルグッズの店の経営者はほとんど新大久保には住んでいないし、お客はほぼ日本人。だから新大久保を歩いていても土着のコリアンの暮らしぶりはほとんど伝わってこない。 

 そんな新大久保に住んでいる僕からすると、三河島は街に染み付いた在日コリアンの生活臭がなんとも心地よい。思わず老舗食材店でキムチを買ってしまったのだが、今回のお題は韓国ではない。この三河島もまた、多国籍化が進んでいるのだ。

 駅の南口には古代遺跡のごとく老朽化したビルに、不動産屋とハラルショップが同居している。スパイスインドの豆など売る小さなハラルショップにお邪魔してみると、

「このへんはネパール人が多いんじゃない?」

 とのお話。イスラム教徒相手のハラル食材を扱うハラルショップだがネパールやインドの商品もあり、経営はネパール人。新大久保などアジア系移民の多いエリアではよくあるスタイルだが、三河島でもそんな店がちらほらと増えているらしい。ちなみにこちらの店で店番をしていた方はインド人だった。

実にしぶいたたずまいの物件を駅のそばに発見