前回#137で紹介したイスタンブルのレストラン『Neolokal(ネオローカル)』が2022年10月11日に発表された初めてのミシュランガイド・イスタンブルにて、一つ星とグリーンスター(サステナビリティを積極的に推進しているレストラン)を獲得した! 他にも、この連載で取り上げてきたオスマン宮廷料理店『Deraliye(デラリエ)』や薪火料理店『Murver』もレコメンドとなった。今になって世界がイスタンブルのグルメ事情に気づき始めたのだ! そんなわけでザ・ハーブスメンのトルコ食い倒れ出張特集はまだまだ続く。

■イスタンブルを離れて、エーゲ海料理を満喫する旅へ

 2022年6月15日水曜。これまで四日間かけてイスタンブルの様々な料理を楽しんだので、ここでいったんイスタンブルを離れ、エーゲ海の町、アラチャトゥとウルラでエーゲ海料理を満喫することにした。エーゲ海料理については以前#90でも詳しく書いたが、魚介と何種類ものハーブをたっぷり使うのが大きな特徴だ。イタリアンパセリ、ディル、スペアミント、青ネギ、そしてケキッキ(タイムやオレガノ)、さらに日本ではあまり目にしないローカルなハーブなど、まさにザ・ハーブスメンが避けては通れない料理である。

 早朝5時すぎに宿を出て、イスタンブル空港から朝8時の国内線でトルコ第二の都市イズミルまで飛んだ。イズミル空港からはアラチャトゥまでタクシーを飛ばして1時間弱。午前10時すぎには、2019年にも泊まった宿『Villa Taraca Alacati Romantik Otel(ヴィラ・タラチャ・アラチャトゥ・ロマンティク・オテル)』にチェックインした。ここはホテル情報サイトBooking.comで過去に何度も10点満点が付いていた(10月14日現在は9.9点)人気の宿だ。

イズミル空港から高速道路で西へと一時間の移動
到着したアラチャトゥのヴィラ・タラチャ・アラチャトゥ・ロマンティク・オテル。余りのガーリーさにキレドの栗田さんもびっくり

 エーゲ海の眩しい日差しの中、プールでひと泳ぎした後、午後3時前に再びタクシーに乗りこみ、ワイナリーと漁港の村ウルラへと向かった。広大なオリーブ畑をそのまま使った薪火料理レストラン『Od Urla(オド・ウルラ)』がこの日の取材先だ。

 3年前にウルラのワイナリーを訪れ(#95)、すっかりこの村が気に入った僕は、帰国後にインターネットで村について調べているうちに、当時開店したばかりだったオド・ウルラを知った。ドイツとギリシャのクレタ島のルーツを持つトルコ人のシェフで、アメリカとイタリア、イスタンブルで料理を学んだオスマン・セゼナーが「農場から食卓まで」をテーマに、農産物から海産物まで地元の季節の食材にこだわり、薪火を使って調理するレストランだ。2018年末の開店直後から食通の間で評判となり、その後、同じ敷地内に二軒目のレストラン『Ma Urla(マ・ウルラ)』とゲストハウスまでオープンしていた。

 タクシーを降りると、オリーブ畑の間に奥の建物へと続くまっすぐな道が敷かれ、オリーブの木陰にはプランターが並び、ルッコラ、ワイルドフェンネル、ソレル、ナスタチウムなど様々なハーブが植えられていた。ちょうどハーブを摘みに来ていた若いキッチンスタッフに聞くと、なんと150種類もの野菜やハーブを栽培しているそう。

ワイナリーと漁港の村ウルラのオリーブ畑の中に突如現れる『Od Urla』
150種類もの野菜やハーブにお出迎えされたザ・ハーブスメンとテレビクルー
若いスタッフがプランターから料理に使うハーブや野菜を摘んでいた

 道を進むと、黒い金属の柱に全面ガラス張りの平屋建築があり、中に入ると、左側がオープンキッチン、右が広い室内サロンとなっていた。キッチンのど真ん中には巨大なピザ焼き窯に似た薪火オーブンが設置され、午後のアイドルタイムにも関わらず、たくさんのスタッフが既に忙しそうに動き回っている。ガラス張りなのと、天井が高いため開放感が半端ない。

 キッチンや室内を覗いた後、僕たちはオリーブ畑の野外席に案内された。オリーブ畑のあぜ道に木の板の床を敷き、そこにテーブルと椅子がずらっと並んでいる。聞くと最大300席もあるそうだ。オリーブの木は暑い午後には日傘にもなり、夜には吊るしたランプのスタンドになる。まさに天然のデコレーションだ。

ガラス張りの建物の左側はオープンキッチン。中央には巨大な薪火オーブンが鎮座する!
建物の右側はダイニングルームとなっている
屋外席はオリーブの木陰に配置されているのだ! 天然のインテリアならぬエクステリア!
ワインセラーを覗くと、店名が付けられたシャルドネやソーヴィニョンブランも。更に敷地内にワインセラー専用の建物もあり、厳選された300種を超える世界中のワインが揃っているそう