文・写真/サラーム海上

 

 2022年6月に行ったザ・ハーブスメンのトルコ食い倒れ出張レポートもいよいよ終盤。今回はエーゲ海の町、アラチャトゥで二泊した宿『Villa Taraca Alacati Romantik Otel(ヴィラ・タラチャ・アラチャトゥ・ロマンティク・オテル)』の朝食を紹介したい。

 この宿には2019年6月にも連泊し、連載第90回「トルコ・エーゲ海地方アラチャトゥの旅〈1〉」で朝食について取り上げている。それでも3年後に再び訪れて、地元産の野菜やフルーツ、卵料理、チーズに加工肉、そしてハーブをふんだんに使った、舌だけでなく目にも麗しい朝食を、エーゲ海の日差しを浴びながら野外席でいただく幸福を、もう一度読者の皆さんと共有したくなったのだ。正直言って、この朝食を妙齢のオヤジ四人だけで独占するのはもったいなさすぎる!

■エーゲ海の町アラチャトゥ、ガーリーなホテルのガーリーな朝食

 6月16日木曜午前8時半、宿の野外プールでひと泳ぎしてから朝食のテーブルに向かうと、宿の女将のディデムさんが中庭の特等席テーブルに我々四人分の朝食を用意している最中だった。

 サラダ、フルーツ、ジャム、チーズ、はちみつ、オリーブ、薄焼きパン、そしてチャイなどが大小、様々な形や色、材質の器に盛りつけられ、広いテーブルを埋め尽くしている。

「おはようございます。ワオ! これまたガーリーですな!」とシャンカール・ノグチさん。

「うん、ガーリー! ガーリー!」と遅れて現れた水野仁輔さんと栗田貴志さんも繰り返す。

 僕は渡航前からザ・ハーブスメンの3人に、アラチャトゥはトルコで最もガーリーな場所、そして泊まる宿も過剰なほどガーリーな宿と口を酸っぱくするほど伝えておいた。なのでアラチャトゥに到着以降、3人の口から何かと「ガーリー」という言葉が出てくるのだ。

時差ボケ解消のため、朝から宿のプールでひと泳ぎ
プールから戻ると既に四人分の朝食がテーブルに並べられていた。朝からビールを頼んだの誰?

 同行していたNHKのテレビカメラが回り始めたので、ディデムさんから自慢の朝食について話を伺った。

「私はエーゲ海出身ではなく、南部のアンタキヤ出身なんです。なのでこの宿の朝食にはエーゲ海のものとアンタキヤのもの、両方を使っています。例えばスルク・ペイニリ(カッテージチーズを赤唐辛子粉やハーブとともに円錐形に固めたチーズ)やアジューカ(赤唐辛子と胡桃のペースト、クミン味。アルメニア人が発明したとも言われる)はアンタキヤのものです」とディデムさん。

 トマトやキュウリなどの野菜やザータルやミントなどのハーブ、そしてオリーブやオリーブオイルは当然、地元エーゲ海のものだ。逆に赤唐辛子粉やクミンパウダーをたっぷり使うスルク・ペイニリやアジューカはもっと灼熱の地であるアンタキヤ=トルコ南部からの食材だ。

「ウチの朝食が皆さんに好評なのは、エーゲ海の朝食とトルコ南部の朝食のコンビネーションだからだと思います」

 なるほど、ハーブ中心でヘルシーなエーゲ海の朝食と、もっとスパイシーなトルコ南部の朝食の組み合わせだったとは気づかなかった! トルコの様々な地方の料理から、2つの地方の良い所取りをしていたのか!

笑顔が素敵なディディムさん、20代の子供がいると聞いて驚いた!
左手前がスルク・ペイニリ、右がアジューカ。ともにトルコ南部のアンタキヤ料理